電話: (050) 5806 4417

平日09:30~18:30(日本時間)

JapanRx / 肥満の若者は、脳の損傷により不健康な食習慣を引き起こしている可能性がある

肥満の若者は、脳の損傷により不健康な食習慣を引き起こしている可能性がある

  • 研究者は、MRIスキャンにより肥満の若者に脳損傷の徴候があることが判明したと述べています。
  • この損傷は脳内ホルモンに影響する可能性があるといいます。このホルモンは、満腹であることや食べることを止めるよう人に信号を出す役割があります。
  • 専門家は、若者の肥満を治療することが重要であり、さもなければ成人期に健康問題が悪化する恐れがあると述べています。

MRIスキャンを用いたとある研究では、肥満の若者の脳内に損傷の徴候があることがわかりました。

この小規模研究の結果は、日曜日に北米放射線医学学会の年次総会で報告されました。

本研究では、体重増加や肥満が体や神経系全体の炎症を引き起こし、脳内の損傷を引き起こす可能性が示唆されています。

「肥満の青年にみられた脳の変化は、食欲や感情、認知機能をつかさどる重要な領域に関連していました。」と、パメラ・バルトラジ氏はプレスリリースの中で述べました。
彼女はこの研究の共同著者であり、ブラジルにあるサンパウロ大学で生物医科学を学ぶ博士課程の学生です。

専門家はHealthlineへの取材の中で、この研究は小規模であり、査読済み専門誌での発表は行われていないと述べました。

しかし、カリフォルニア州サンタモニカにあるプロビンス・セントジョーンズヘルスセンターの小児科医および副会長をつとめるダニール・M.フィッシャー医師は、この調査結果は肥満研究へのアプローチを変える可能性があると述べています。

「私は、この研究により研究者は方向転換を行うことになるだろうと考えます。肥満の問題を抱える青年に見られるこのような行動パターンの理由を解明するものです。」と、彼女はHealthlineに対して述べました。


<肥満の増加>
若者の肥満は、過去50年間で増加し続けています。

アメリカでは、肥満の子供や青年の割合は、1970代から3倍以上に増えています。

アメリカ疾病予防管理センターによると、12~19歳の肥満率は現在20%であるといいます。

カリフォルニア州のメモリアルケア・オレンジコースト医療センターで小児科医を務めるジーナ・L.ポスナー医師は、問題なのは自体が悪化する一方であることだと言います。

「私の患者に関して言うと、問題は深刻です。患者の多くが肥満を抱えた青年です。」と、彼女はHealthlineへの取材に応えました。
「私たちは現状、非常に座りがちな生活を送っています。若者の多くは携帯電話をいじったり、iPadで遊んだり、TVを見るのみです。動き回ることをせず、以前ほど活動的ではありません。堕落が進み、問題は大きくなるばかりでしょう。」

肥満のある若者の健康への影響は、ポンサー医師のような医師に新たな困難を与えています。

「2型糖尿病を患う若者を診る機会が増えています。」と、彼女は言います。
「2型糖尿病は肥満の成人が発症する傾向にありましたが、現在では肥満の子供においても多く見られます。肥満の若者が糖尿病や高血圧、高コレステロールを患うケースもあります。医者として、高血圧や高コレステロールの薬を扱う機会は以前はありませんでしたが、今ではとても増えてきています。」

「このような薬を処方するのは気が進みません。大部分は高齢者向けであり、若い子供を対象にした研究があまり行われていないからです。」と、彼女は付け加えました。


<研究が示すもの>
MRIスキャンの研究に携わった研究者は、59人の肥満の青年と61人の健康的な青年の脳を比較しました。

彼らは、炎症マーカーに関連する脳の損傷を発見しました。
この炎症マーカーには、脂肪細胞によって作られるホルモンであり、脂肪の蓄積やエネルギーレベルを制御するレプチンが含まれました。

一部の肥満を患う人は、脳がこのホルモンに反応しないために、既に十分な量を食べたにも関わらず食べ続けたり、脂肪を過剰に蓄積したりすることに繋がります。

「正常に機能している時、レプチンは満腹ホルモンとして働きます。すなわち、脂肪細胞がレプチンを産生することで、空腹感が弱まり、食べる量が減るのです。理想的には、脂肪が多いほどレプチンが増えて食べる量が減少し、減量に繋がれば良いのですが。」と、ダーナ・ハンネス博士はHealthlineへの取材に対して述べています。
彼は、カリフォルニア大学ロサンゼルス医療センターで栄養士を務めています。

「しかし残念ながら、理想通りにはいきません。」と、彼女は付け加えました。
「そして、この研究によると、炎症によって引き起こされた脳の変化は肥満を伴い、これにより脳がレプチンに正常に機能しなくなり、適切に食欲を減少させないことに繋がっているようです。」

ベルトラジ氏は、研究者はこの研究を繰り返し実施したいと考えていると述べています。
被験者が減量のための集学的治療を受けた後に再び研究を行うことで、脳内の損傷が可逆的であるかを確認したいと考えているのです。


<肥満の早期治療>
専門家は、青年の肥満はできるだけ早く治療することが大切であるという意見に同意しています。
これにより、青年が受ける身体的および精神的なダメージの量を減らすことができます。

治療せずにいると、肥満の影響はより大きくなりかねません。

「身体面だけでなく感情面での影響も見られます。」ち、ソフィア・イェン医師はHealthlineへの取材に対して述べています。
彼女は、カリフォルニア州にあるスタンフォード小児健康減量クリニックで臨床助教授を務めています。
「自尊心への影響は確実であり、うつ病を引き起こすことがあります。また、男女共に乳房が肥大することがあります。若い女性には、多嚢胞性卵巣症候群や月経不順、多毛症、にきびを引き起こす場合があります。また、関節障害や心疾患、呼吸障害、睡眠時無呼吸症候群、肝障害、糖尿病に繋がることもあります。」

イェン医師は、減量は90%の食事と10%の運動で達成されると言います。
彼女は、各食事の50%を果物や野菜にし、最低25%をタンパク質に、炭水化物は25%以下にするようアドバイスしています。

ポンサー氏は、青年期に肥満を解消する方が、成人になってから改善を試みるよりもずっと簡単であると話します。

「あなたが肥満を抱えた青年だとすると、成人期に肥満となる確立は非常に高く、このサイクルを抜け出すことは困難です。」と彼女は言います。

ケイティー・ページ医師は、南カリフォルニア大学Keck School of Medicineにある糖尿病および肥満研究所で共同ディレクターを務めています。
彼女は、現在研究者によって肥満と脳機能の関連性が確立されており、これからは損傷を予防したり回復させる方向に努力をシフトさせる必要があると話しています。

「新しい研究の結果は以前の報告内容および主な公衆衛生の懸念と一貫しています。同研究では肥満は代謝疾患リスクを上げるだけでなく、脳機能の悪化とも関連していることが示唆されているのですから。」と、彼女はHealthlineへの取材に対して述べています。

「今行うべきなのは、肥満によって引き起こされる損傷は可逆的、および/または予防可能であるのかを研究することです。」と、ページ医師は付け加えています。
「食事の変化や身体活動の増加、堕落的な行動の減少、ストレスの減少といった対策が考えられます。これらは全て、脳の発達や認知機能において重要な役割を果たします。」

出典: 2019年11月24更新 Science Daily『Teens with Obesity May Have Brain Damage That Produces Poor Eating Habits』(2019年12月3日に利用)
https://www.healthline.com/health-news/teens-obesity-brain-damage-eating-habits#Obesity-on-the-rise