肥満患者におけるオルリスタット療法後の長期的な心血管の転帰についてのコホート研究
肥満の有病率の上昇とそれに関連する併存疾患は、公衆衛生上の問題が増大していることを表しています。
特に、肥満は心血管疾患の主要な危険因子であることが知られています。
オルリスタットは、肥満患者での体重の減少においては有効性があるという証拠が背後にあるにもかかわらず、これまでのところ、心血管系の転帰に対するその長期的影響を定量化した研究はありません。
この研究の目的は、オルリスタット療法後の長期的な心血管転帰を調査することでした。
調査方法と結果
傾向スコア一致コホート研究が、Clinical Practice Research Datalink(CPRD)の全国的な電子版の第一次医療記録そして、統合二次医療記録により実施されました。
追跡調査中にオルリスタットの投薬コースを完了したCPRDの記録に記載された36,876人の肥満患者は、オルリスタットを服用しなかった同数の対照群と1:1で照合されました。
患者は、主要な心血管疾患(致命的なものを含む心筋梗塞または虚血性脳卒中)の主要な複合エンドポイントの発生、、主要エンドポイントコンポーネントを個別に含んだ、副次的エンドポイント、新たに発症した心不全、冠状動脈血行再建術の発生、新規の慢性腎臓病ステージIII +(CKD3 +)、およびすべての原因による死亡について、中央値6年間で追跡が行われました。
6年間の追跡期間中央値では、主要な心血管有害事象の発生は、オルリスタットコホートの方が低い結果となりました(ハザード比(HR)0.74; 95%信頼区間(CI)0.66〜0.83ポイント、P <0.001)。
オルリスタットを服用した患者は、心筋梗塞(HR 0.77; 95%CI 0.66〜0.88、P <0.001)および虚血性脳卒中(HR 0.68; 95%CI 0.56〜-0.84、P <0.001)で低く、また、新たな心不全の発生率が低いことがわかりました(HR 0.79; 95%CI 0.67〜0.94、P = 0.007)。
血行再建率に差はありませんでした(HR 1.12; 95%CI 0.91-1.38、P = 0.27)。
しかし、CKD3 +の発生率(HR 0.78; 95%CI 0.73-0.83、P <0.001)と死亡率(HR 0.39、95%CI 0.36〜-0.41、P <0.001)の両方での低下が観察されました。
結論
この全国的な傾向スコア一致研究では、オルリスタットは、全体的に主要な心血管疾患、心不全、腎不全の新たな発症、そして、死亡率の低下と関連していました。
この研究は、一次予防における潜在的な役割を示唆することによって、オルリスタットによる治療の心血管危険因子プロファイルにおいて、既に改善が知られている現存の知識に加わる新たな証拠となります。
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