胃腸薬のファモチジンは、COVID-19の症状緩和に役立つか
とある小規模研究の調査結果では、市販の胃腸薬がCOVID-19症状の緩和に使用できる可能性が示されています。
6月4日にオンラインのGutジャーナル上で、ペプシド(Pepcid)というブランド名で販売されているファモチジンが、COVID-19の診断を受けた10名の患者グループの症状を改善したように見えたとの報告がされました。
本研究の著者は、患者の自己申告によると、ファモチジン摂取後1~2日以内に症状が改善し始めたと述べています。
「臨床試験により、ファモチジンのCOVID-19に対する有効性を正式に調査する必要があります。」と、ニューヨークにあるコールドスプリングハーバー研究所で腫瘍内科医および癌研究者を務めるトビアス・ジャノウィッツ博士は述べました。
しかし、まだ急いでファモチジンを入手すべき段階ではないと、ボルチモアにあるジョンズ・ホプキンス大学健康安全保障センターで上級研究者を務めるアメシュ・アダリャ博士は警告しています。
「この研究は非常に小規模であり、本質的には観察研究でした。」と、アダリャ氏は言い、「そこから結論を出すのは非常に難しい」と語りました。
アダリャ氏は、ファモチジンは軽度から中等度のCOVID-19症例に用いられているため、この薬の効果を証明するためには、臨床試験でファモチジンの効果をプラセボ薬と比較することが不可欠であると述べています。
「薬が使用されたのは軽度の症例であり、軽度の場合時間の経過とともに改善するため、感染症から自然に回復しただけなのか、もしくはファモチジンの効果であったのかを確認するためには、これらの症例をプラセボ薬と比較する必要があります。」と、アダリャ氏は説明しています。
ファモチジンは、胃が生成する酸の量を減少させることで機能するH2ブロッカーであり、胸焼けを治療する薬の一種です。
ウイルス発生の早い段階で、COVID-19感染から生還した中国武漢の高齢者の多くが胸やけの治療薬を服用した事が医師によって判明したと、研究者らは述べています。
調査員が患者記録を確認した所、慢性胸やけを患っていた生存者は、より高価なオメプラゾール(プリロセック)ではなく、ファモチジン(ペプシド)を服用していたことが判明したと、ノースウェル・ヘルス・ファインスタイン医学研究所の研究長であるケビン・トレイシー博士は4月、科学ジャーナルで述べています。
ペプシドを服用していたCOVID-19の入院患者の死亡率は14%であり、本薬を服用していなかった患者の27%と比較して半減したと、トレイシー氏は述べています。
ジャノウィッツ氏は、「偶然にもこの薬を服用していた患者は、COVID-19の重症度が低かった」と述べています。
ジャノウィッツ氏の研究チームは新しい研究で、がん患者に対して、病人が毎日の体調を記録する症状追跡法を用いました。
この研究の被験者は、年齢23~71の範囲の男性6名と女性4名でした。
被験者の民族的背景は様々であり、ほとんどがCOVID-19の重症化リスクを高める慢性的な健康障害を抱えていました。
研究者は5つの一般的なCOVID-19症状に対し4ポイントスケールの尺度を用い、患者は毎日の症状のスコアを記録しました。
ファモチジン服用後、ほとんどの患者の症状(咳や倦怠感、頭痛、嗅覚や味覚の喪失、息切れ等)改善したことが報告されたと、研究者は述べています。
調査結果では、内5名の患者よりファモチジンの服用を開始してから体の痛みが改善し、3名からは胸の圧迫感が軽減したとの報告があったことが示されています。
「症状を定量化し、経時的に追跡するこの方法は、私たちが通常がん治療に用いるものですが、COVID-19の自然経過を理解するのに役立つかもしれません。」と、ジャノウィッツ氏は語りました。
トレーシー氏は、現在ニューヨーク市にあるノースウェル・ヘルスにて、COVID-19に対するファモチジンの有効性に関する臨床試験が進行中であると述べました。
ジャノウィッツ氏は、何故ファモチジンがCOVID-19症状のある患者に効果があるように見えるのか、またその他の同じ医薬品カテゴリーに分類される胸やけ治療薬も同様の効果があるのかについては、断言することができないと述べています。
トレーシー氏はHealth.comの取材に対し、理論的にはこの薬にはコロナウイルスの増殖を妨げる構造が存在すると述べています。
ファモチジンは、ウイルスが自己複製するために必要な酵素に結合する可能性があります。
アダリャ氏は、この薬の効果をさらに解明するためには、臨床試験に加え、研究室でのより多くの実験が必要になると結論付けました。
「ウイルス量やその他のバイオマーカーを調べ、この薬に抗ウイルス効果や免疫調節効果があるという客観的な証拠が存在するかどうかを判断することも重要です。」とアダリャ氏は述べました。
「この結果は仮説に過ぎません。無作為化比較試験によって本当に効果があるかどうかが判明するまでは、COVID-19の治療薬として本薬を治療することは待った方が良いでしょう。」
出典 2020年6月5日更新 MedicinNet『Could Heartburn Med Pepcid Ease COVID-19 Symptoms?』(2020年6月11日に利用)
https://www.medicinenet.com/script/main/art.asp?articlekey=234502
6月4日にオンラインのGutジャーナル上で、ペプシド(Pepcid)というブランド名で販売されているファモチジンが、COVID-19の診断を受けた10名の患者グループの症状を改善したように見えたとの報告がされました。
本研究の著者は、患者の自己申告によると、ファモチジン摂取後1~2日以内に症状が改善し始めたと述べています。
「臨床試験により、ファモチジンのCOVID-19に対する有効性を正式に調査する必要があります。」と、ニューヨークにあるコールドスプリングハーバー研究所で腫瘍内科医および癌研究者を務めるトビアス・ジャノウィッツ博士は述べました。
しかし、まだ急いでファモチジンを入手すべき段階ではないと、ボルチモアにあるジョンズ・ホプキンス大学健康安全保障センターで上級研究者を務めるアメシュ・アダリャ博士は警告しています。
「この研究は非常に小規模であり、本質的には観察研究でした。」と、アダリャ氏は言い、「そこから結論を出すのは非常に難しい」と語りました。
アダリャ氏は、ファモチジンは軽度から中等度のCOVID-19症例に用いられているため、この薬の効果を証明するためには、臨床試験でファモチジンの効果をプラセボ薬と比較することが不可欠であると述べています。
「薬が使用されたのは軽度の症例であり、軽度の場合時間の経過とともに改善するため、感染症から自然に回復しただけなのか、もしくはファモチジンの効果であったのかを確認するためには、これらの症例をプラセボ薬と比較する必要があります。」と、アダリャ氏は説明しています。
ファモチジンは、胃が生成する酸の量を減少させることで機能するH2ブロッカーであり、胸焼けを治療する薬の一種です。
ウイルス発生の早い段階で、COVID-19感染から生還した中国武漢の高齢者の多くが胸やけの治療薬を服用した事が医師によって判明したと、研究者らは述べています。
調査員が患者記録を確認した所、慢性胸やけを患っていた生存者は、より高価なオメプラゾール(プリロセック)ではなく、ファモチジン(ペプシド)を服用していたことが判明したと、ノースウェル・ヘルス・ファインスタイン医学研究所の研究長であるケビン・トレイシー博士は4月、科学ジャーナルで述べています。
ペプシドを服用していたCOVID-19の入院患者の死亡率は14%であり、本薬を服用していなかった患者の27%と比較して半減したと、トレイシー氏は述べています。
ジャノウィッツ氏は、「偶然にもこの薬を服用していた患者は、COVID-19の重症度が低かった」と述べています。
ジャノウィッツ氏の研究チームは新しい研究で、がん患者に対して、病人が毎日の体調を記録する症状追跡法を用いました。
この研究の被験者は、年齢23~71の範囲の男性6名と女性4名でした。
被験者の民族的背景は様々であり、ほとんどがCOVID-19の重症化リスクを高める慢性的な健康障害を抱えていました。
研究者は5つの一般的なCOVID-19症状に対し4ポイントスケールの尺度を用い、患者は毎日の症状のスコアを記録しました。
ファモチジン服用後、ほとんどの患者の症状(咳や倦怠感、頭痛、嗅覚や味覚の喪失、息切れ等)改善したことが報告されたと、研究者は述べています。
調査結果では、内5名の患者よりファモチジンの服用を開始してから体の痛みが改善し、3名からは胸の圧迫感が軽減したとの報告があったことが示されています。
「症状を定量化し、経時的に追跡するこの方法は、私たちが通常がん治療に用いるものですが、COVID-19の自然経過を理解するのに役立つかもしれません。」と、ジャノウィッツ氏は語りました。
トレーシー氏は、現在ニューヨーク市にあるノースウェル・ヘルスにて、COVID-19に対するファモチジンの有効性に関する臨床試験が進行中であると述べました。
ジャノウィッツ氏は、何故ファモチジンがCOVID-19症状のある患者に効果があるように見えるのか、またその他の同じ医薬品カテゴリーに分類される胸やけ治療薬も同様の効果があるのかについては、断言することができないと述べています。
トレーシー氏はHealth.comの取材に対し、理論的にはこの薬にはコロナウイルスの増殖を妨げる構造が存在すると述べています。
ファモチジンは、ウイルスが自己複製するために必要な酵素に結合する可能性があります。
アダリャ氏は、この薬の効果をさらに解明するためには、臨床試験に加え、研究室でのより多くの実験が必要になると結論付けました。
「ウイルス量やその他のバイオマーカーを調べ、この薬に抗ウイルス効果や免疫調節効果があるという客観的な証拠が存在するかどうかを判断することも重要です。」とアダリャ氏は述べました。
「この結果は仮説に過ぎません。無作為化比較試験によって本当に効果があるかどうかが判明するまでは、COVID-19の治療薬として本薬を治療することは待った方が良いでしょう。」
出典 2020年6月5日更新 MedicinNet『Could Heartburn Med Pepcid Ease COVID-19 Symptoms?』(2020年6月11日に利用)
https://www.medicinenet.com/script/main/art.asp?articlekey=234502