脊椎関節炎患者の腸透過性の増加に関してのデータは決定的ではないようだ
関節炎とリウマチのセミナーで発表された系統的レビューの結果によると、脊椎関節炎(SpA)の患者は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の使用に関係なく、腸透過性が増加しています。
しかし、研究データは関節リウマチ(RA)患者での腸透過性に関しては決定的ではありませんでした。
研究者は、SpAおよび、またはRAの患者の腸透過性を評価した、1980年から2020年の間に発表された研究について医療情報提供サービスのメドライン(Medline)、エムベース(Embase)、そしてコクランライブラリ(Cochrane Library)のデータベースをレビューしそれぞれの研究から、研究者は出版年、選択基準、コホートサイズ、患者の平均年齢、SpAおよびRAの分類基準、腸透過性を測定するために使用される方法、病気の活発度、そしてNSAIDの使用状況についてのデータを抽出しました。
ニューカッスルオタワ品質評価尺度(The Newcastle Ottawa quality assessment Scale )を使用して、研究の品質とバイアスのリスクを評価しました。
1,791件のレビュー済み研究のうち、23件が最終分析に含まれました。
サンプルサイズは6人から206人の患者の範囲、平均患者年齢は36歳から52歳の範囲でした。合計10件の研究で、腸透過性に対するNSAIDの効果についての調査が行われました。
腸透過性を測定するために最も頻繁に使用された方法は、ラクツロース/マンニトール、51クロム標識エチレンジアミン四酢酸(51Cr-EDTA)およびポリエチレングリコール(PEG)400テストでした。 2つの研究では、循環ゾヌリンの濃度を測定することによって透過性を評価しました。
23件の研究のうち、12件はSpAのみ、11件はRAのみ、3件はSpAとRAの両方で透過性が評価されていました。
SpAの患者では、9件の研究で検査方法に関係なく腸透過性の増加が報告されました。
RAの患者を登録した研究の半分では、病状と腸透過性の間に有意な相関関係は観察されませんでした。
3件の研究からの発見では、対照となる健康な参加者と比較して、RA患者の透過性の増加が示されました。
1件の研究において、活動性RAの患者でのみ、透過性の増加が確認されました。
病気の活動度に関しては、SpAでの病気の活動の増加が腸透過性の増加と関連していることを示した研究はありませんでした。
しかし、2件の研究が、活動性RAである患者が、活動性RAでない患者と比較して透過性が増加している可能性があることを示唆しています。
NSAIDの使用を報告している10件の研究のうち、最も一般的なレジメンである、インドメタシン、ナプロキセン、アセチルサリチル酸(アスピリン)などの薬剤の種類または用量が特定されたものはほとんどありません。
強直性脊椎炎(AS)の患者を対象とした2件の研究では、NSAIDを投与した後に透過性の増加が観察されました。
しかし、他の2件の研究では、NSAIDがASの透過性に影響を与えることは観察されませんでした。
RA患者においての研究では、NSAIDは透過性の増加としばしば関連していました。
環境的または遺伝的要因を報告した研究では、絶食は腸透過性を低下させ、RA患者の疾患活動性を低下させることがわかりました。
別の研究では、SpAの患者では、相関的に透過性が増加していることがわかりました。ただし、他の遺伝的および、環境要因に関するデータは限られていました。
過去の分析からのデータは、SpAの患者はNSAIDの使用に関係なく腸透過性の増加がみられる可能性があることを示しました。
RAの腸透過性に関するデータは決定的ではありませんでした。
腸透過性とリウマチ性疾患の関係をよりよく評価するには、さらなる研究が必要です。
「更なる研究を行うことは、腸透過性が炎症性慢性リウマチの新しいバイオマーカー、および、または、新しい標的となるのかを判断するのに役立つかもしれません。」
と研究者らは記しています。
【以下のリンクより引用】
Rheumatology Advisor