脳深部刺激療法と水泳とは一緒にできない
パーキンソン病の人に対しての脳深部刺激は振戦を鎮め、進行性の神経変性疾患に伴う望ましくない動きを抑えることができます。
脳に埋め込まれた電極は、胸部の皮膚の下に配置され、オン/オフスイッチを備えたデバイスによって制御され、厄介な症状を緩和し、複雑な動きを同期化させることができます。
しかし新しい論文で懸念される発展が報告されています。
それは9人の熟練したスイマーが、インプラントが手足の調整を必要とする他の動きを改善したにもかかわらず、パーキンソン病のDBS挿入手術治療(脳深部刺激療法)の後に泳げなくなりました。
泳ぐ能力は失いましたが、インプラントは手足の調整を必要とする他の動きを改善しました。
水泳ができなくなった理由は謎のままですが、水曜日にNeurology誌で症例を説明した医師はすぐに警報を鳴らしました。
「患者と神経科医はDBS手術後に泳ぐ能力が失われる可能性があるということに注意する必要があります。」
と、研究の共著者でありチューリッヒ大学病院の神経科医であるクリスチャン・バウマン博士は本誌に語りました。
「私たちは、すべての患者が水深の深い場所で泳ぐ時には用心するよう警告します。」
一人の患者で湖畔に別荘を所有している69歳の男性は、これを劇的な方法で発見しました。
「DBSの後、彼は運動機能の結果が良好であったため自信を持って、湖に飛び込みました。家族によって救われていなかったら彼は死んでいたでしょう。」
と研究者は記しています。
61歳の女性はチューリッヒ湖を定期的に走れていた競泳選手でしたが、DBS施術後、1/10マイル(160m)弱しか泳げなくなり、ぎこちないストロークでしか泳げなかったと訴えました。
他の3人の患者はDBS装置のスイッチを切ると、すぐに再び泳ぐことができました。
しかし、彼らの他の動きと神経心理学的症状は非常に急速に悪化したため、DBS装置オンに戻しました。
1997年に米国でパーキンソン病の治療が承認された脳深部刺激療法は、振戦や運動の変動が治療に反応しなくなった患者への標準治療となっています。
他のパーキンソン病の薬が効かなくなった後、患者は通常、ドーパミンの前駆体であるレボドパを服用して、体が十分な量で作れなくなった神経伝達物質のレベルを回復します。
しかし、レボドパの効果もまた薄れてきます。用量を調整しても、患者は歩行中に時々動けなくなり不随意運動が起こります。
DBSは、ドーパミンを回復する代わりに、外科的に埋め込まれた電極から、運動の原因と考えられるニューロンに直接電気信号を送信します。
なぜ患者は歩くことはできるが泳ぐことはできないのか、研究者はDBSがレボドパとは異なる方法で脳に影響を及ぼすのではないかと考えました。
振戦を制御するために必要なときにDBS装置をオンにできる患者は、レボドパを継続して服用しています。
「異なる脳構造に刷り込まれた同期活動は、DBSによって変更される可能性があります。つまり、1つのネットワーク部分の活動の変更がネットワーク全体を変更し、それがこの結果を説明するかもしれません。」とバウマン博士は述べました。
「しかし、これは仮説です。」
パーキンソン財団のメディカルディレクターであり、フロリダ大学のノーマンフィクセル神経疾患研究所のエグゼクティブディレクターであるマイケル・オクン博士は、症例報告の予備的な性質と、DBS装着後に患者が服用しているドーパミン量の変化に注目しました。
彼はこの研究に関与していませんでした。
「一連の患者はすべて、術後、薬物によるドーパミン作動性が50%以上減少していたため、この要因が機能低下に大きな役割を果たした可能性があります。」
と彼は述べました。
「この現象の根本的な原因を整理するには、投薬前および投薬後の状態、ならびに術前および術後の試験条件下で、デバイスを適切に使用した前向き試験が必要になります。
さしあたり、DBSの有無にかかわらずパーキンソン病の患者は、ひとりで泳ぐべきではありません。」
スキー、ゴルフ、スケートなど、他の複雑な運動行動も影響を受ける可能性がある、とバウマン博士は述べました。
しかし、DBS装置悪して持つ人々だけでなく、水泳が最も心配であるとオクン博士は述べました。
「パーキンソン病のすべての患者にとって重要なアドバイスの1つは、決して一人で泳がないことです。」とオクン博士は言います。
「脳刺激装置が埋め込まれているかどうかに関係なく、薬剤の効き目が切れてきて動けなくなってしまうリスクはパーキンソン病患者の死亡に関連していることが知られています。」
【以下のリンクより引用】
Warning: Swimming and deep brain stimulation do not mix
STAT