腎臓結石の排泄:2つの薬の組み合わせにより痛みを軽減できる可能性
ケンブリッジのマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者が、腎臓結石の排出に伴う痛みを軽減できる薬の組み合わせを発見した可能性があります。
彼らは、ブタを用いて研究を行いました。
1度でも腎臓結石を排出したことのある人なら、排出に伴う痛みについて知っています。
米国では毎年50万人以上がこの痛みを経験し、約10人に1人がどこかの時点で腎臓結石を発症しています。
腎臓結石は通常医師の介入なしに体から除去されますが、ゆっくりと排出され、痛みを伴います。
しかし、Nature Biomedical Engineeringに掲載された新しい研究によると、この経験はすぐに過去のものになるかもしれません。
この研究を行ったチームは、2つの薬を組み合わせることで、ブタの尿管壁を弛緩させることができることを発見しました。
これらの薬は、腎臓結石が人間に激しい痛みを引き起こすのを防ぐことができるかもしれません。
<腎臓結石の問題>
この研究の筆頭著者であるマイケル・シーマ教授は、「私たちは、この研究は何百万人もの人が患う尿路結石に大きな影響を与える可能性あると考えています。」
シーマ教授は、マサチューセッツ工科大学材料工学学部およびコッホがん総合研究所と共同で研究を行っています。
結石は、通常腎臓から結晶を洗い流す尿に過剰の固形廃棄物が含まれ、水分が足りないために上手く機能しなくなることで形成されます。
こうした結石は一カ所に固まり、狭い尿管を痛め付けながらくぐり抜けて石を形成し、けいれんや炎症を引き起こします。
結石のほとんどは数週間以内に排出されますが、不快感が持続し、深刻になることがあります。
大きな結石は、外科的切除が必要となることもあります。
尿管を広げ結石を排出させるために使用できる、食品医薬品局(FDA)の承認を受けた経口薬は未だ存在しないため、医師は単に鎮痛薬を処方することが多くなっています。
以前、他の研究者が尿管弛緩薬を試用したことがありましたが、薬の有効性は結局の所照明されていません。
<新しい研究について>
この新しい研究の筆頭著者は、ハーバードMIT健康科学・健康技術合同学部のクリストファー・リー博士です。
新しい研究に対するモチベーションを、彼は次のように表しています。
「今日の腎臓結石の扱いを見ると、1980年頃からあまり変わっておらず、また投薬される薬にもあまり効果がないことを示すかなりの量の証拠が存在しています。この研究がどれだけの人に役立てられるかを考えると、気持ちが昂ります。」
シーマ教授とブライアン・アイスナー医師(研究の共同著者であり、腎臓結石を専門とする泌尿器科医)は、効果的なアプローチを発見することに興味を持ちました。
リー氏も直ぐに、彼らの調査に加わりました。
彼らは、医師が通常高血圧や緑内障などの疾患治療に使用する18の薬剤を特定することから始めました。
尿管に直接投与される薬物療法がより効果的である可能性があると考えたため、実験室のプレート上で成長させたヒトの尿幹細胞を18の薬物候補にさらし、薬物が尿管組織を弛緩させる程度を確かめました。
しかし、シーマ教授は以下のように報告しています。
「私たちは、一部の薬に期待通りの効果があることを見出しました。そして全てのケースにおいて、効果の発現に必要な薬物濃度は、全身投与した際安全なレベルを超えていることが分かりました。」
<2種類の薬を使用した方が、1種類よりも良い>
研究者らは調査結果をさらに分析し、より低い安全な用量で効果を示す2剤の組み合わせを探しました。
最終的に、彼らは併せて投与するとより良い効果を示す、最も性能の高い2つの薬を見つけました。
この薬の1つであるニフェジピンは、医師が高血圧治療に使用するカルシウムチャネル遮断薬です。
もう一つは、緑内障の治療に使われるRhoキナーゼ阻害薬です。
チームはその後、膀胱鏡検査と呼ばれる管状ツールを介して、ブタから取り出した尿管に様々な用量の混合剤を投与しました。
研究者らは尿石の排出に伴う収縮またはけいれんの頻度や長さを調べ、尿管組織を弛緩させる効果を測定しました。
その後の鎮静状態のブタを用いた試験では、配合薬を使用することで、これらの収縮がほぼなくなる可能性があることが明らかになりました。
さらにその後のテストでは、血流中にいずれの薬剤の痕跡も見当たりませんでした。
すなわち、薬剤は尿管内に留まるため、全身性副作用リスクが減少するということです。
研究者らは、さらなる研究開発を行い、最終的にはヒトでの試験に繋げたいと考えています。
出典 2019年12月28日更新 Medical News Today『Passing kidney stones: 2-drug combo may relieve pain』(2020年1月14日に利用)
https://www.medicalnewstoday.com/articles/327245.php#1
彼らは、ブタを用いて研究を行いました。
1度でも腎臓結石を排出したことのある人なら、排出に伴う痛みについて知っています。
米国では毎年50万人以上がこの痛みを経験し、約10人に1人がどこかの時点で腎臓結石を発症しています。
腎臓結石は通常医師の介入なしに体から除去されますが、ゆっくりと排出され、痛みを伴います。
しかし、Nature Biomedical Engineeringに掲載された新しい研究によると、この経験はすぐに過去のものになるかもしれません。
この研究を行ったチームは、2つの薬を組み合わせることで、ブタの尿管壁を弛緩させることができることを発見しました。
これらの薬は、腎臓結石が人間に激しい痛みを引き起こすのを防ぐことができるかもしれません。
<腎臓結石の問題>
この研究の筆頭著者であるマイケル・シーマ教授は、「私たちは、この研究は何百万人もの人が患う尿路結石に大きな影響を与える可能性あると考えています。」
シーマ教授は、マサチューセッツ工科大学材料工学学部およびコッホがん総合研究所と共同で研究を行っています。
結石は、通常腎臓から結晶を洗い流す尿に過剰の固形廃棄物が含まれ、水分が足りないために上手く機能しなくなることで形成されます。
こうした結石は一カ所に固まり、狭い尿管を痛め付けながらくぐり抜けて石を形成し、けいれんや炎症を引き起こします。
結石のほとんどは数週間以内に排出されますが、不快感が持続し、深刻になることがあります。
大きな結石は、外科的切除が必要となることもあります。
尿管を広げ結石を排出させるために使用できる、食品医薬品局(FDA)の承認を受けた経口薬は未だ存在しないため、医師は単に鎮痛薬を処方することが多くなっています。
以前、他の研究者が尿管弛緩薬を試用したことがありましたが、薬の有効性は結局の所照明されていません。
<新しい研究について>
この新しい研究の筆頭著者は、ハーバードMIT健康科学・健康技術合同学部のクリストファー・リー博士です。
新しい研究に対するモチベーションを、彼は次のように表しています。
「今日の腎臓結石の扱いを見ると、1980年頃からあまり変わっておらず、また投薬される薬にもあまり効果がないことを示すかなりの量の証拠が存在しています。この研究がどれだけの人に役立てられるかを考えると、気持ちが昂ります。」
シーマ教授とブライアン・アイスナー医師(研究の共同著者であり、腎臓結石を専門とする泌尿器科医)は、効果的なアプローチを発見することに興味を持ちました。
リー氏も直ぐに、彼らの調査に加わりました。
彼らは、医師が通常高血圧や緑内障などの疾患治療に使用する18の薬剤を特定することから始めました。
尿管に直接投与される薬物療法がより効果的である可能性があると考えたため、実験室のプレート上で成長させたヒトの尿幹細胞を18の薬物候補にさらし、薬物が尿管組織を弛緩させる程度を確かめました。
しかし、シーマ教授は以下のように報告しています。
「私たちは、一部の薬に期待通りの効果があることを見出しました。そして全てのケースにおいて、効果の発現に必要な薬物濃度は、全身投与した際安全なレベルを超えていることが分かりました。」
<2種類の薬を使用した方が、1種類よりも良い>
研究者らは調査結果をさらに分析し、より低い安全な用量で効果を示す2剤の組み合わせを探しました。
最終的に、彼らは併せて投与するとより良い効果を示す、最も性能の高い2つの薬を見つけました。
この薬の1つであるニフェジピンは、医師が高血圧治療に使用するカルシウムチャネル遮断薬です。
もう一つは、緑内障の治療に使われるRhoキナーゼ阻害薬です。
チームはその後、膀胱鏡検査と呼ばれる管状ツールを介して、ブタから取り出した尿管に様々な用量の混合剤を投与しました。
研究者らは尿石の排出に伴う収縮またはけいれんの頻度や長さを調べ、尿管組織を弛緩させる効果を測定しました。
その後の鎮静状態のブタを用いた試験では、配合薬を使用することで、これらの収縮がほぼなくなる可能性があることが明らかになりました。
さらにその後のテストでは、血流中にいずれの薬剤の痕跡も見当たりませんでした。
すなわち、薬剤は尿管内に留まるため、全身性副作用リスクが減少するということです。
研究者らは、さらなる研究開発を行い、最終的にはヒトでの試験に繋げたいと考えています。
出典 2019年12月28日更新 Medical News Today『Passing kidney stones: 2-drug combo may relieve pain』(2020年1月14日に利用)
https://www.medicalnewstoday.com/articles/327245.php#1