腰痛は遺伝が原因です

アメリカ合衆国退役軍人省の研究者らは、慢性腰痛に関連する3つの遺伝的変異を発見しました。

PLOS遺伝学ジャーナル（journal PLOS Genetics）に掲載されたこの研究は、腰痛リスクを、骨格の発達を司る遺伝子の変異を関連付けています。

この研究結果により、臨床医が腰痛の根底にある基礎的生物学の理解するのを助け、新しい治療法の開発につながる可能性があります。

研究者らは、慢性腰痛を患う29,000人以上の被験者を含む、ヨーロッパ系の成人158,000名におけるゲノム関連研究を行い、腰痛の存在と関連する遺伝子変異体を探しました。
最も強い関連が見られたのは、事実上胚発生のすべての段階に関与する転写因子であるSOX5遺伝子の変異体でした。

SOX5の不活性化は、以前からマウスにおける軟骨や骨格形成の欠陥と関連付けられており、この研究で発見された変異体が、骨格発達のいくつかの局面に影響することで慢性腰痛の一因となり得るという仮説を強めています。

SOX5変異体と腰痛の関連性は、慢性腰痛を抱える50,000人以上を含む280,000人以上を対象とした別のグループでも同様に見られました。
以前は椎間板ヘルニアに関連していた第2遺伝子もまた、脊髄発達に関与する第3遺伝子と同様に腰痛に関連しており、恐らく腰痛リスクの痛みの感覚や気分に関与しているとされます。

この研究の筆頭著者であるプラディープ・スリ氏は、次のように述べています。
「このゲノムワイド関連解析の結果では、慢性腰痛リスクに影響する可能性がある複数の経路が示されています。
慢性腰痛は気分の変化に関連しており、急性から慢性腰痛への移行における中枢神経系の役割はよく知られています。
しかし、我々が特定した上位2つの遺伝的変異体は、脊椎などの末梢構造に関与する原因を示唆しています。
さらなる大規模な遺伝学的研究により、慢性腰痛の複雑な経験に対する、末梢性および中枢性両方の要因の重要性が明らかになることを期待しています。

出典：2018年9月28日更新『Back pain? It’s in your genes』Health Spectator UK（2019年4月15日に利用）
https://health.spectator.co.uk/back-pain-its-in-your-genes/