腸に潜む薬剤耐性菌
それを引き起こす細菌が抗生物質に対してますます抵抗力があるようになっているため、医師が一般的な感染症を治療することが益々困難になっています。
新しい研究はこれらの耐性菌スーパーバグが蔓延する理由の一つを明らかにしています。
尿路感染症(UTI)は、細菌が尿路に侵入すると発生する最も一般的な感染症の一つです。
尿路のどの部分も感染する可能性がありますが、UTIは最も一般的には膀胱で発生します。
UTIは、男性よりも女性、特に女児により一般的です。
尿道、または尿管は短く、女性の肛門に近いため、腸からの細菌が女性の尿路のさまざまな部分に届きやすいためだとされています。
女性におけるUTIの主な原因は大腸菌です。大腸菌の薬剤耐性株は広く拡散しているため、医師はどの抗生物質を処方するかについて、再考した上で処方を行っています。
UTIに未感染である女性におけるUTIの耐性菌
感染症についての新しい臨床研究において、研究者らは、UTIの症状のない1,000人以上の健康な女性からの便試料を検査しました。全員ワシントンのピュージェットサウンド地区に住む女性です。
テストの結果、8.8%の女性が腸内に大腸菌のフルオロキノロン耐性株を保有していたことが明らかになりました。
医者は頻繁にUTIの治療のためにフルオロキノロンを処方します。
研究者らは、これらの抗生物質の使用を制限するための努力がなされてきたものの、耐性菌種が広く広まっていると述べています。
さらに、研究者らは、ほとんどのフルオロキノロン耐性大腸菌も、治療が困難な尿および血液感染の原因である2つの広範な多剤耐性株に属することを見出しました。
研究者はまた、女性たちから便のサンプルと同時に採取した尿サンプルをテストしました。
これらのテストにより、フルオロキノロン耐性大腸菌腸内細菌を持つ女性の3分の1以上が尿中に大腸菌を持っていたことが明らかになりました。
これらのうち、ほぼ77%の人に便試料と一致するフルオロキノロン耐性株がありました。
これらの女性のうち、承諾を得た45人の医療記録の追跡が行われました。それによると、彼女たちの7%が約3ヵ月後にUTIの診断を受けました。
優れた腸の入植定住者
研究の著者らは彼らが発見した大腸菌のふたつの薬剤耐性株について、「そこに固執する傾向がある」「優れた腸の入植者」と説明しています。
「それらはまた、検体検査の時点で尿路感染症の診断を受けていなかった健康な女性の尿中に、異常に高い確率で現れることがあります。」
「両方の現象は相互に関連し合っているようだ」と彼らは付け加えました。
シアトルにあるワシントン大学医学部の微生物学の教授である上級研究著者の、エフゲニV.ソクレンコ博士は、この調査結果は感染症の治療と管理に関して多くの臨床的意義を持つ可能性があると述べています。
彼は、腸内の多剤耐性細菌の検査は、女性の感染が、どの程度強く薬物治療に抵抗を示すかを医師が予測するのに役立つ可能性があると示唆しています。
感染症の症状がない患者の尿中に耐性菌が見つかった場合、医師は次にどうすべきかの方針を持つことも必要かもしれません。
ソクレンコ博士は、広範囲の耐性株を保有しているキャリアを排除することで、多剤耐性感染症のリスクを軽減できる可能性があると示唆しています。
それはまた彼女たちが接触する人々へ感染を広げてしまうといったリスクを減らすことができます。
【以下のウェブサイトより引用】