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腸内微生物は潰瘍性大腸炎の治療の鍵となりうる

科学者は、腸内微生物が足りないことと潰瘍性大腸炎の繋がりを解明し、新しい治療法への扉を開きました。

カリフォルニア州スタンフォード大学医学部の科学者チームは、一部の人々に欠けている腸内微生物を特定しました。

この発見は、一部の人が潰瘍性大腸炎を発症する理由を解く鍵となりえます。

この研究はCell Host & Microbe誌に掲載されています。

 

科学者たちは、この失われた微生物の機能を置き換えることにより、潰瘍性大腸炎のより効果的な新しい治療法を開発することが可能になることを望んでいます。

 

潰瘍性大腸炎とは

国立糖尿病消化器病学会は、潰瘍性大腸炎が炎症性腸疾患の一種であることを指摘しています。

この病気は人の大腸に炎症と痛みを引き起こし、腹痛、体重減少、膿や血液を伴なう下痢などの問題を引き起こす可能性があります。

潰瘍性大腸炎の症状は軽度から重度まで広範囲にあり、今のところ治すことはできません。

その代わりとなる治療法として、疾患を可能な限り寛解状態に保つことに焦点を合わせています。

治療は通常、投薬から開始しますがこれらが効かない場合は手術が必要となることがあります。

アメリカのクローン病および大腸炎財団によると、潰瘍性大腸炎の患者の23%〜45%は最終的に手術を受ける必要があります。

手術では、結腸と直腸を完全に切除します。

次に、外科医は、腸の内容物を収集するための外部ポーチとして機能するストーマ(人工肛門)、または同じ機能がある小腸の端にある『J字型ポーチ』である回腸嚢のいずれかを作成します。

これまで、科学者たちはなぜ潰瘍性大腸炎が一部の人々に影響を及ぼし、他の人々には影響がないのかということについての確信がありませんでした。

スタンフォード大学のチームによる新しい研究では、主な理由は特定の腸内微生物の欠如である可能性があることが示されています。

 

胆汁酸

潰瘍性大腸炎のJ字型ポーチを作成する手術を受けた一部の人々は、炎症と関連する症状は再発することに気付くかと思います。

興味深いことに、遺伝的な要素のある家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)がある人は、またJ字型ポーチの作成を必要としますが、こういった人々は炎症性の症状が見られることはありません。研究者は、なぜそうであるのかについて解明を試みました。

この研究では参加者を2つのグループに分けて比較しました。

グループの1つは家族性アミロイドポリニューロパチー(FAP)、もう1つは潰瘍性大腸炎です。そしてそれらの間での重要な違いについて探りました。

彼らは、重要な違いは腸内の胆汁酸の種類であり、潰瘍性大腸炎の患者よりもFAPの患者の方がはるかに多いことを発見しました。

これらの胆汁酸は健康な腸では自然に存在し、脂肪を分解するのに役立ちます。

 

腸内微生物

腸内では、細菌がこれらの胆汁酸を二次胆汁酸に変換します。

科学者たちは、潰瘍性大腸炎の患者では過少評価されていたルミノコッカス科と呼ばれる特定の細菌ファミリーを特定することができました。

ルミノコッカス科の細菌は、一次胆汁酸を二次胆汁酸に変換する主な微生物です。

准教授でありこの研究の主著者であるアイーダ・ハベテジオン博士は次のように述べています。

「すべての健康な人の腸内にはルミノコッカス科の細菌がいます。しかし、潰瘍性大腸炎のポーチを持つ患者では、この腸内細菌が消耗していました。」

調査結果を確認するために、研究者らは、FAPの参加者からの糞便サンプルが一次胆汁酸を二次胆汁酸に変えたのに対し、潰瘍性大腸炎のサンプルからはそうではなかったことを発見しました。

その後、研究チームは潰瘍性大腸炎があり二次胆汁酸が不足している状態のある、マウスに酸性サプリメントを与えました。

これにより、マウスの炎症と大腸炎の通常の症状が軽減されました。

「この研究は、病気をよりよく理解するのに役立ちます。」

「健康な腸内にすでに大量に存在する自然に生成された代謝物で治療できるようになることを願っています。」

とハベテジオン博士は述べています。

そこに到達するために、研究チームは、現在、酸サプリメントが潰瘍性大腸炎の人々を助けることができるかどうかを確認するための臨床試験を実施しています。

 

 

【以下のリンクより引用】

Gut microbes could be key to treating ulcerative colitis

Medical News Today