自閉症を過剰診断していないだろうか?
研究者は、自閉症の基準の変化は、状態の過剰診断につながる可能性があると言います。
しかし、一部の専門家は、より優れた診断方法は、単により多くの個人をより若い年齢で自閉症と認識できるようになると言います。
早期診断により、医療専門家はより若い年齢で自閉症の治療を開始できます。自閉症の診断は以前と同じではないのです。
新しい研究により、自閉症と診断された人と自閉症を持たない人との差が徐々に減少していることがわかりました。
研究者は、それはより深刻な症状のないより多くの人々が自閉症と診断されていることを意味する可能性があると言います。
モントリオール大学の精神医学部のの教授であり研究著者であるローラン・モットロン博士は、次のように述べました。
「自閉症のカテゴリーは大幅に拡大しすぎています。半世紀前の有病率よりも15倍も高いのです。」
「自閉症に類似していないほとんどの神経遺伝障害や小児精神医学的障害が自閉症と分類されるようになりました。」
「例えば、2013年まではADHDと自閉症ではなかったのに、現在はそうと分類されてしまいます。さらに、これは両方の症状がある場合に医師は、 “純粋な”ADHDのある自閉症の人を“社会性に大きな影響を与える”と診断できるのです。
ジャーナルJAMA Psychiatry Trusted Sourceに掲載された調査結果は、自閉症が過剰診断されていることを示している可能性があります。
または、それは、早期発見により軽度から重度までの様々な症状を伴う自閉症の多くの症状に対する認識が高まったことを意味している可能性があります。
どちらにしても自閉症の定義が、狭く定義された同じ症状を持つ集団から包括的で不均質な集団へと変化している可能性があるため、疾患の機構的なモデルを構築する能力が低下する可能性があると研究は結論付けています。
言い換えれば、より広い定義では、自閉症の脳がどのように機能するかをモデル化することをより困難にするのかもしれません。
モットロン博士は、より広い定義の意味には、現在自閉症のひとつの形態と考えられている他の状態に関する専門知識と臨床経験がなくなってしまう可能性があると主張しています。
また、利用可能な自閉症向けのサービスへの負担を増やす可能性があります。
より良い診断、それとも過剰診断?
別の専門家は、医療専門家が自閉症の診断においてより範囲を広げているということに意義を唱えません。
しかし、彼らはそれはもっと良質で善良な診断であるべきだと言います。
ジョージア州カミングスにあるパビリオン・サイコロジカル・サービスのオーナーであるアシュリー・ベイカー博士は、次のように述べています。
「臨床心理学者として、私はギャップの狭さについてはあまり関心がありません。それは、障害に関連する研究と認識が重要だと考えているから です。」
「医療関係者は、自閉症児とその親に早期の警告サインについて教育するために精力的に働いてきました。」
と彼女は付け加えました。
「これは、早期介入と診断につながります。」
自閉症スピークスの最高科学責任者であるトーマス・フレイジャー博士は、次のように話しています。
「自閉症は過剰診断されていません。」
「自閉症の中心的特徴である社会的コミュニケーションと柔軟性に欠ける反復的な行動は、当初から変わっていません。」
彼は、症状が軽度と特定された場合は、小さい症状でも病気と診断されると述べました。
「それは、重要な機能的課題にまだ関連付けられている、より軽度の症状を認めていることを意味します。」
フレイジャー博士は、自閉症の診断基準の最近の変化が自閉症の診断を増やす要因であると言いました。
「しかし、自閉症の定義を薄めるのではなく、主な症状の特有の組み合わせを共有する3つの異なる条件を適切に再分類し、これらの分野に関与する基礎となるプロセスをよりよく理解できるようにしました。」と博士はつづけました。
「自閉症を理解するのに最も重要なことは、人生の早い段階でより多くの人が適切な診断を受けることにより、自閉症の人が成功するために必要な ケアとサポートを得ることです。」
とフレイジャー博士は言います。
基準の変化
モットロン博士が率いるメタ分析を検討した研究は、1966年から2019年の間に発表されたものでした。
この期間中、自閉症の有病率は、米国の8歳での0.05%未満から1.47%に増加し、現在、生涯有病率は2%以上と推定されています。
自閉症は、1940年代に最初に小児障害として特定されました。
自閉症の診断基準は、数十年にわたって数回変更されています。
2013年、アメリカ精神医学会の精神障害の診断および統計マニュアル(DSM-5)の最新版の信頼できる情報源が自閉症の定義を広げました。
自閉症、アスペルガー症候群、小児崩壊性障害、および特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)といった以前は個別だった診断を、 今では広く知られた「自閉症スペクトラム障害」の傘下で組み合わせました。
「自閉症スペクトラム障害と診断された人々は、依然として一般的な自閉症に関連する症状と課題を抱えています。」
と、自閉症、強迫性障害、不安障害のある患者へのカウンセリングを専門とする資格を持つ心理学者のレベッカ・サックス博士は言います。
サックス博士は、増加する自閉症診断の多様性を、診断基準が知識として進化し、その状態の研究基盤が拡大した別の障害であるADHDと比較しています。
マゼランヘルス(Magellan Health)社の自閉症臨床ケアサービス担当副社長のヤグネシュ・バドガマ氏は、自閉症の診断が時間とともに増加する 理由を理解しようとする一方で、 女性、マイノリティグループ、低所得家族など一部の集団では疾患が過小診断される傾向があることも認識して おくことが重要だと言います。
一方、彼は、DSM-5で定義されているような「自閉症の完全な評価が十分に得られていない。」と述べました。
「その一方で特定の集団では過剰診断される可能性があります。」とバドガマ氏は、自閉症ジャーナル(the journal Autism)誌で発表された2016年のワシントン大学の研究を指摘し、以前診断された自閉症患者の再分析により約9%が自閉症には分類するべきではないと判断しました。
「所定の期間内での再診断が必要です。」と彼は述べました。
「自閉症の患者は、今よりももっと頻繁に再診断が行われるべきです。」
【以下のウェブサイトより引用】
Healthline