自閉症スペクトラム障害のある若者はコレステロール値の異常を検査する必要がある
アメリカの非営利医療団体であるケネディクリーガー研究所(Kennedy Krieger Institute)の医師は、子供と大人の両方の心血管疾患の危険因子であるため、自閉症スペクトラム障害(ASD)の子供は、子供時代に少なくとも1回はコレステロール値異常(高すぎるかもしくは低すぎるか)の検査を受けることを推奨しています。
この推奨は、ASDの子供が2人以上いる家庭においては、善玉コレステロールとして知られる高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-C)値が低下していることを発見した最近の研究を受けてのものです。
さらに、彼らは、他の脂質、アポリポタンパク質A1(ApoA1)およびアポリポタンパク質B(ApoB)の値の低下または上昇を発見しました。
HDL-C値またはApoA1値が低い人は、ASDのある他の人よりも適応能力がが低いことがわかりました。
この研究の結果は、Translational Psychiatry誌に掲載されました。
自閉症研究団体のAutism Speaksはこの研究の一部に資金を提供し、Autism Genetic Resource Exchange(AGRE)の参加者からの血漿サンプルを調査しました。
ワシントンD.C.にある小児国立病院と国立衛生研究所の国立心肺血液研究所の医師もこの研究に参加しました。
「この最新の研究は、ASDとの同時に発生する状態のいくつかを理解するため、現在進行中の研究の一部です。」
と、ケネディクリーガー研究所の児童青年精神科医であるエレイン・ティアニー医学博士は述べています。
「私たちの研究は、ASDを持つ多くの人々において脂質が異常であることを示しています。私たちの調査結果は、ASDのある個人の心臓病の増加を示す研究に加えて、ASDのある子供が総コレステロール値とHDLコレステロール値の異常についての検査を推奨することを導いています。
私たちの研究がコレステロール値の検査の重要性を強調し、ASDのある個人の家族の意識を高めることを願っています。」
この研究が完了する以前、ティアニー博士と彼女の同僚は、コレステロール生合成障害の遺伝的疾患である『スミス・レムリ・オピッツ症候群(SLOS)』が自閉症に関連していることを確認しました。
彼女と他の研究者によって完了された2007年の研究は、このまれな病気の重症度はさまざまであるものの、ASDのすべての子供が、成長が遅かったり、小頭症であったり、精神遅滞やその他の先天性欠損症などの特徴のいくつかが示されるのであれば、SLOSの検査を受けることを推奨しました。
この最新の研究の延長として、テネシー大学健康科学センターの遺伝学、ゲノミクスおよび情報学科に属するティアニー博士と研究者は、研究参加者と協力して、ASDおよび異常な脂質レベルの患者に脂質関連の遺伝的変化があるかどうかを判断するための全ゲノムシーケンスデータの分析を行っています。
研究チームは次の段階として、ASDが家族に1人しかいない個人の集団を調査し、コレステロール異常やその他の脂質レベルが、少なくともASDの人が2人いる家族と異なるかどうかを確認します。
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