若年成人のコレステロール値で心臓病リスクを予測できる
最近行われたとある研究では、若年成人のコレステロール値と後年の心血管リスクの関係を調べたところ、今後の研究において興味深い推奨事項が示されました。
コレステロール値が高いと、米国で主な死因となっている心臓病や、5番目に多い死因である脳卒中に繋がることは、既に研究で十分に証明されています。
コレステロールは、肝臓の他、卵やチーズ、特定の肉製品などの食べ物によって生成される脂肪物質です。
コレステロールは、体が機能するために必要です。
しかし、低密度リポタンパク質(LDL)とも呼ばれる "悪玉"コレステロールが多すぎると、脂肪が蓄積して動脈が詰まり、心臓発作や脳卒中、末梢動脈疾患リスクが高まります。
また、科学者らは、総コレステロールが高いことと、過体重や運動不足、喫煙、アルコール消費を関連付けています。
米国では、20歳以上の成人の12%以上の総コレステロール値が、医者が高いと考える240ミリグラム/デシリットル(mg/dl)を超えています。
6~19歳の小児や青年では、7%において総コレステロール値が高くなっています。
高密度リポタンパク質(HDL)は「善玉」コレステロールであり、LDLを動脈から肝臓に戻し、LDLを体内から除去するのに役立ちます。
<長期に渡る脂質の調査>
The Lancetに掲載された新しい包括的研究では、最大43.5年間(1970~2013年)にわたって、19ヵ国の400,000人近くの人を対象に追跡調査が行われました。
調査結果は、45歳以下の人々の悪玉コレステロール(非HDL)値と、心疾患や脳卒中の長期リスクの関連に焦点が当てられています。
以前の研究とは異なり、個人レベルのデータを調べたこの観察およびモデリング研究では、若い内に非HDLコレステロール値が高いと、75歳時点での心血管リスクが高まることが示唆されました。
この研究では、米国、ヨーロッパ、オーストラリアで実施された38の研究のデータを使用しました。
約40万人の対象者の内、調査開始時に心血管疾患を患う人はいませんでした。
科学者らは数十年にわたって対象者の追跡調査を行い、致命的な、もしくはそうではない何かしらの心疾患イベント、および脳卒中に関する詳細を調べました。
合計して、54,542件の致命的な、もしくはそうではない何かしらの心疾患イベント、および脳卒中症例がありました。
研究者が全ての年齢層および男女のデータを分析した所、非HDL値が低下するにつれて、心疾患もしくは脳卒中リスクが継続的に低下することがわかりました。
実際、非HDL値が最も低い(科学者によって非HDLコレステロール値が2.6 mmol/Lであると定義される)対象者は、最もリスクが低くなりました。
心臓および動脈疾患の長期リスクは、45歳未満の人に置いて最も高くなりました。
「若者のリスクが増加したのは、血中の有害な脂質に長時間さらされたことが原因である可能性があります。」と、ドイツにある環境衛生研究所のバーバラ・ソーランド教授は述べています。
<研究では、早期介入が不可欠であることが示唆される>
この研究では、血液中の非HDLおよびHDLコレステロール値が、長期的な心血管疾患リスクを予測する上で、重要な役割を果たしていることが確認されました。
研究者はデータを用いて30歳から70歳までの人のモデルを作成し、75歳までの心臓イベントリスクを推定しました。
この際、性別や年齢、非HDL値の他、血圧やBMI、糖尿病、喫煙状況といった心血管危険因子が考慮されました。
また、非HDLコレステロール値が50%低いと仮定した場合、リスクをどれ程下げることができるかについても調査しました。
研究者がこのアプローチを用いたところ、若者の年齢層において、最も顕著なリスク減少が確認されました。
例として、非HDLコレステロール値が3.7~4.8mmol/Lの45歳未満の男性は、心血管疾患危険因子を少なくとも2つ有しています。
もしこの男性の非HDLコレステロール値が半減すれば、リスクを16%から4%に低下できます。
同要因を有する女性の場合は、リスクを29%から6%に低下できます。
60歳以上の個人に同じ非HDLコレステロール値を適用すると、男性ではリスクを21%から10%に、女性では12%から6%に減少できます。
研究者らは、各個人が非DHLコレステロール値を下げる努力をすることで、動脈硬化として知られる動脈閉塞の初期兆候を逆転させられる可能性があることを示唆しています。
しかし、特に若年成人において、わずかに上昇した、もしくは正常に見えるコレステロール値が、生涯を通じて心血管リスクにどのように影響するのかは、またどの程度の治療が推奨されるべきなのかは、明確ではありません。
共同著者のStefan Blankenberg教授は、次のように述べています。
「私たちが行った推定では、非HDLコレステロール値が半減することで75歳時点の心血管イベントリスクが減少し、このリスク減少は、コレステロール値の減少が早ければ早いほど大きくなる可能性が示唆されています。」
「脂質低下治療を受ける必要性を判断するために現在クリニックで用いられているリスクスコアでは、
10年後の心血管疾患リスクのみを評価するため、特に若年者の生涯リスクが過小評価される可能性があります。」と、Blankenberg教授は言います。
著者は、その後10年のリスクは低いものの生涯リスクが高い若者には、高齢期に介入を行うよりも早期介入を実施したほうが効果的かどうか確認するため、さらなる研究が必要だと述べています。
この研究の限界は、高所得国に焦点が当てられているため、調査結果が全ての地域または民族グループに適用できない可能性があることです。
コレステロール値が高くても何も症状なくず、多くの人は自身のコレステロール値が高いことに気付いていません。
しかし、医師による簡単な血液検査の実施により、値を確認することが可能です。
出典 2019年12月29日更新 Medical News Today『Cholesterol levels in young adults can predict heart disease risk』(2020年1月7日に利用)
https://www.medicalnewstoday.com/articles/327315.php#8
コレステロール値が高いと、米国で主な死因となっている心臓病や、5番目に多い死因である脳卒中に繋がることは、既に研究で十分に証明されています。
コレステロールは、肝臓の他、卵やチーズ、特定の肉製品などの食べ物によって生成される脂肪物質です。
コレステロールは、体が機能するために必要です。
しかし、低密度リポタンパク質(LDL)とも呼ばれる "悪玉"コレステロールが多すぎると、脂肪が蓄積して動脈が詰まり、心臓発作や脳卒中、末梢動脈疾患リスクが高まります。
また、科学者らは、総コレステロールが高いことと、過体重や運動不足、喫煙、アルコール消費を関連付けています。
米国では、20歳以上の成人の12%以上の総コレステロール値が、医者が高いと考える240ミリグラム/デシリットル(mg/dl)を超えています。
6~19歳の小児や青年では、7%において総コレステロール値が高くなっています。
高密度リポタンパク質(HDL)は「善玉」コレステロールであり、LDLを動脈から肝臓に戻し、LDLを体内から除去するのに役立ちます。
<長期に渡る脂質の調査>
The Lancetに掲載された新しい包括的研究では、最大43.5年間(1970~2013年)にわたって、19ヵ国の400,000人近くの人を対象に追跡調査が行われました。
調査結果は、45歳以下の人々の悪玉コレステロール(非HDL)値と、心疾患や脳卒中の長期リスクの関連に焦点が当てられています。
以前の研究とは異なり、個人レベルのデータを調べたこの観察およびモデリング研究では、若い内に非HDLコレステロール値が高いと、75歳時点での心血管リスクが高まることが示唆されました。
この研究では、米国、ヨーロッパ、オーストラリアで実施された38の研究のデータを使用しました。
約40万人の対象者の内、調査開始時に心血管疾患を患う人はいませんでした。
科学者らは数十年にわたって対象者の追跡調査を行い、致命的な、もしくはそうではない何かしらの心疾患イベント、および脳卒中に関する詳細を調べました。
合計して、54,542件の致命的な、もしくはそうではない何かしらの心疾患イベント、および脳卒中症例がありました。
研究者が全ての年齢層および男女のデータを分析した所、非HDL値が低下するにつれて、心疾患もしくは脳卒中リスクが継続的に低下することがわかりました。
実際、非HDL値が最も低い(科学者によって非HDLコレステロール値が2.6 mmol/Lであると定義される)対象者は、最もリスクが低くなりました。
心臓および動脈疾患の長期リスクは、45歳未満の人に置いて最も高くなりました。
「若者のリスクが増加したのは、血中の有害な脂質に長時間さらされたことが原因である可能性があります。」と、ドイツにある環境衛生研究所のバーバラ・ソーランド教授は述べています。
<研究では、早期介入が不可欠であることが示唆される>
この研究では、血液中の非HDLおよびHDLコレステロール値が、長期的な心血管疾患リスクを予測する上で、重要な役割を果たしていることが確認されました。
研究者はデータを用いて30歳から70歳までの人のモデルを作成し、75歳までの心臓イベントリスクを推定しました。
この際、性別や年齢、非HDL値の他、血圧やBMI、糖尿病、喫煙状況といった心血管危険因子が考慮されました。
また、非HDLコレステロール値が50%低いと仮定した場合、リスクをどれ程下げることができるかについても調査しました。
研究者がこのアプローチを用いたところ、若者の年齢層において、最も顕著なリスク減少が確認されました。
例として、非HDLコレステロール値が3.7~4.8mmol/Lの45歳未満の男性は、心血管疾患危険因子を少なくとも2つ有しています。
もしこの男性の非HDLコレステロール値が半減すれば、リスクを16%から4%に低下できます。
同要因を有する女性の場合は、リスクを29%から6%に低下できます。
60歳以上の個人に同じ非HDLコレステロール値を適用すると、男性ではリスクを21%から10%に、女性では12%から6%に減少できます。
研究者らは、各個人が非DHLコレステロール値を下げる努力をすることで、動脈硬化として知られる動脈閉塞の初期兆候を逆転させられる可能性があることを示唆しています。
しかし、特に若年成人において、わずかに上昇した、もしくは正常に見えるコレステロール値が、生涯を通じて心血管リスクにどのように影響するのかは、またどの程度の治療が推奨されるべきなのかは、明確ではありません。
共同著者のStefan Blankenberg教授は、次のように述べています。
「私たちが行った推定では、非HDLコレステロール値が半減することで75歳時点の心血管イベントリスクが減少し、このリスク減少は、コレステロール値の減少が早ければ早いほど大きくなる可能性が示唆されています。」
「脂質低下治療を受ける必要性を判断するために現在クリニックで用いられているリスクスコアでは、
10年後の心血管疾患リスクのみを評価するため、特に若年者の生涯リスクが過小評価される可能性があります。」と、Blankenberg教授は言います。
著者は、その後10年のリスクは低いものの生涯リスクが高い若者には、高齢期に介入を行うよりも早期介入を実施したほうが効果的かどうか確認するため、さらなる研究が必要だと述べています。
この研究の限界は、高所得国に焦点が当てられているため、調査結果が全ての地域または民族グループに適用できない可能性があることです。
コレステロール値が高くても何も症状なくず、多くの人は自身のコレステロール値が高いことに気付いていません。
しかし、医師による簡単な血液検査の実施により、値を確認することが可能です。
出典 2019年12月29日更新 Medical News Today『Cholesterol levels in young adults can predict heart disease risk』(2020年1月7日に利用)
https://www.medicalnewstoday.com/articles/327315.php#8