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JapanRx / 英国では抗生物質の使用が少なく、抗生物質耐性が高い

英国では抗生物質の使用が少なく、抗生物質耐性が高い

英国公衆衛生庁 (Public Health England, PHE)は、2014年から2019年までの5年間でイングランドの抗生物質の処方数が大幅に、17%減少したことを歓迎しています。

しかし、毎年ますます多くの細菌感染での抗生物質耐性が示しているため、自己満足する余地はありません。

唯一の解決策は、一般の人々が軽度の感染で抗生物質を服用しないで病気と闘うということです。

 PHEのスーザン・ホプキンス氏は次のように述べています。

「必要のないときに抗生物質を服用するのは無害ではありません。現在および将来、あなたとあなたの家族の健康に重大な結果をもたらす可能性があります。」

科学者はなぜ世界的な抗生物質の過剰使用について、懸念を募らせているのでしょうか。

専門家のヘレン・ストークス・ランパード氏は次のように述べています。

「抗生物質は命を救う薬になる可能性がありますが、細菌の耐性が強くなると、抗生物質は機能しなくなり、多くの場合、治療手段がなくなり患者さんを危険にさらしてしまいます。」

昨年(2017年から2018年)で、抗生物質耐性感染の数は9%増加し、ほぼ61,000件に達しました。

実際、同じ5年間で少なくとも3分の1の最も深刻な感染症である、いわゆる『抗生物質耐性菌』、最も一般的にはエシェリキア・コリと呼ばれる腸内細菌による血流感染がありました。

 

抗生物質と耐性

抗生物質は、細菌の成長および、または増殖に影響する強力な細胞毒素であり、相対的に選択性があります。

抗生物質については、最初に発見された、魔法の薬『ペニシリン』に始まり、それ以来、感染症の制御に変化をもたらしてきました。

敗血症、肺炎、髄膜炎などの深刻な細菌感染症の治療に関しては、適切に治療しないと簡単に命を落とす可能性があります。

ただし、咳、のどの痛み、耳痛などのより軽度の感染症の場合は、日常的に使用する必要はありません。

通常は、これらの病気は自力で治療できます。

このような感染は自己制限ができると説明されており、抗生物質による療法を必要としません。

しかし、抗生物質を不必要に摂取することは何が問題になっているのでしょうか。現在、多くのことがわかってきました。すべての抗生物質は、    想定されているタイプの細菌をほぼ死滅させます。

ただし細菌が抗生物質によって抑制されるか、または死滅すために使用されるメカニズムを補助するのを助ける特定の細菌遺伝子が存在するため、常にいくつかは生き残ります。

これが薬物耐性につながるものです。さらに悪いことに、これらの遺伝子は異なる細菌の間で共有される傾向があり、そのためより多くの種類の抗生物質に耐性を示します。

これが意味することは、そのような感染症の治療に関しては選択肢があまりないということです。

抗生物質が過剰に使用されると、これらの耐性菌の数が体内での通常の感受性菌を圧倒する可能性があります。つまり、より多く、人々に感染を引き起こします。そして、こういった感染症は簡単には治りません。

 

私たちにできること

これが「懸念される」傾向だと説明するホプキンス氏は、次のように述べています。

「一般診療医、薬剤師、看護師のアドバイスに耳を傾け、必要な場合にのみ抗生物質を摂取することで、抗生物質耐性への対策には、皆さんに参加してほしいのです。」

公衆衛生局は、抗生物質の使用を減らした結果、入院を必要とする重篤な感染症の症例が増えたということはなかったと述べました。

その代わりに、彼女は、抗生物質の使用を賢明に削減しようと努める一般医を称賛し、彼らが取った「積極的な措置」は感染からの回復を遅らせる  ことなく抗生物質の使用を減らしたと述べました。

こうした取り組みにより、2016年までに抗生物質の処方が6%減少し、2018年に至るまでに現在の17%もの減少が見られました。

抗生物質の処方率は、年間1,000人あたり750人から624人に減少し、それはこの5年間で特に65歳未満の人では最も顕著でした。

同時に、歯科用抗生物質の数も4分の1以上減少しました。

英国政府は、1月にさらに15%の減少を達成すると約束しています。

これは、今後20年間において、抗生物質耐性を減らすためのより大きな計画の一部です。

PHEは、市民及び医療従事者の教育及び認識向上を目的とした、3回目の「Keep Antibiotics Working」キャンペーンを開始し、特定の状況でこれらの 薬物を使用しないように勧められたときに、医療提供者の意見を聞くことを奨励しています。

これは、世界中の人々と医師にとって良いアドバイスです。

実際、これは、より深刻で潜在的に障害または命にかかわる感染症を治療し、将来的に抗生物質を確実に入手できるようにする唯一の方法      なのです。

英国の最高医療責任者である、クリス・ウィッティ氏は、次のように述べています。

「抗生物質の消費の減少というのは朗報ですが、耐性感染の増加による脅威が増しているため、まだやるべきことがあります。抗生物質耐性は   臨床医だけの問題ではありません。国民全体がこれらの重要な医薬品の保存を支援する上で重要な役割を果たします。」

 

【以下のリンクより引用】

Good news, bad news: lower antibiotic use, more antibiotic resistance in UK

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