血圧の変動は認知症と心臓病の警告サイン
日付:2023 年 10 月 16 日
情報源:南オーストラリア大学
まとめ:高血圧とさまざまな健康問題との関連性はよく知られています。
研究者らは血圧の変動も同様に危険であり、認知症や血管疾患の前兆となる可能性があることを発見しました。
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オーストラリアの研究者らによる新しい研究では、血圧の変動が高齢者の認知症や血管障害のリスクを高める可能性があることを示しました。
この研究を主導した南オーストラリア大学(Uni SA)の研究者らは、24時間以内および数日または数週間にわたる短い血圧変動が、認知障害と関連していると述べています。
収縮期血圧((心臓の拍動時の動脈内の圧力を測定する上の血圧)の変動(上昇)も、心臓病に繋がる動脈硬化と関連しています。
この研究結果は、科学ジャーナルの「脳循環 -- 認知と行動(Cerebral Circulation -- Cognition and Behaviour)」 誌に掲載されました。
Uni SAの認知老化・障害神経科学研究所(CAIN)に拠点を置く博士号取得候補者であり、この研究の筆頭著者であるダリア・ガッテリッジ氏は、高血圧が認知症の危険因子であることはよく知られているものの、血圧の変動にはほとんど注目されていないと言います。
「臨床治療は“高血圧”という状態に焦点を当てており、血圧自体の変動は無視されています。」
とガッテリッジ氏は言います。
「血圧は短期および長期での様々な時間枠内で変動する可能性があり、これが認知症と血管の健康のリスクを高めるようです。」
血圧変動と認知症を関連付けるメカニズムの調査を支援するために、UniSA の研究者は、認知症や認知障害の兆候がない60歳~80 歳の健康な高齢者70 人を集めました。
彼らの血圧は監視され、認知テストが行われ、ドプラ法による経頭蓋超音波検査と脈波分析を使用して脳と動脈の動脈硬化についての測定が行われました。
「私たちは、日をまたいだ変動だけでなく1日の内だけでも血圧変動が増えることが認知能力の低下と関連していることを発見しました。
また、収縮期血圧(上の血圧)においての血圧の変動頻度の増加が、動脈内の血管を硬くしてしまうことも発見しました。
「これらの結果は、さまざまなタイプの血圧変動が、さまざまな根本的な生物学的メカニズムを反映している可能性が高く、収縮期血圧と拡張期血圧の変動がどちらも高齢者の認知機能にとって重要であることを示しています。」
この関連性は、臨床的には、それに関連した認知障害のない高齢者においても存在しており、これは血圧変動が認知障害の「初期臨床マーカー」または「治療目標」として機能する可能性があることを意味していると研究者は述べています。
【以下のリンクより引用】
Fluctuating blood pressure: A warning sign for dementia and heart disease
Sciencedaily