血圧を厳しくコントロールすることで脳の衰えを救う
2019年8月13日(HealthDay News)- 認知症にならないために、機敏でいることはある程度、血圧が高くならないように努力することによるのかも しれません。
そのために、血圧を厳密にコントロールすることが認知症の予防に役立つ可能性があることを新しい研究では示しています。
この研究では、米国の国立神経障害脳卒中研究所(NINDS)の研究者がMRIを使用して、高血圧のある数百人の患者の脳をスキャンしました。
彼らは、「標準的な」血圧治療を受けた人々と比較して、「集中的な」高血圧の制御があった人々では脳の白質での特定の病変の蓄積が遅れていたことを発見しました。
これらの白質病変は脳の奥深い部分の変化を反映しているとNINDSの臨床研究部長であるクリントン・ライト博士が率いる研究チームは述べて います。
以前の研究では、高血圧の人は白質病変の蓄積のリスクが高く、また精神衰弱と認知症のリスクも高いことが示されたと博士は述べました。
NINDSが資金提供を行ったこの研究は、アメリカ医師会の会報誌で8月13日に公開されました。
血圧の値を健康レベルにすることは、高血圧が原因で、この種の損傷を起こす可能性が高かった人での白質病変の蓄積が大幅に減少したと ライト博士はNINDSのニュースリリースで述べました。
また、集中的な血圧管理を受けた患者は、標準的な治療を受けた患者と比較して、脳の体積の損失がわずかに多いことがわかりました。その影響は主に男性で見られました。
しかし、この損失は一般的には非常に小さく、臨床的意義は不明であると研究者は述べた。
この研究に参加した患者は、米国・国立衛生研究所(NIH)の収縮期血圧介入試験(SPRINT)に登録されていました。
この試験は、50歳以上の約9,300人が参加しました。
同じ研究チームによる以前の研究では、高血圧の集中治療により、しばしば認知症の前兆である軽度の認知障害のリスクが大幅に低下することが わかりました。
この試験では、「標準的な」高血圧治療により収縮期血圧(試験中に測定される2つの数値の最初の数値)が140 mm Hg未満に低下しました。
「集中的な」治療がさらに進み、同じ収縮期血圧値は120 mm Hg未満に低下しました。
全体として、このデータは「血圧を制御することで脳卒中や心臓病のリスクだけでなく、加齢に伴う認知機能低下のリスクを軽減できることを示す多くの証拠を裏付けています。」
とNINDSの所長であるウォルター・コロシェッツ博士は述べました。
「私は人々に自分の血圧を知り、最適にコントロールする方法について医師と話し合うことを強く勧めます。それは、将来、自分の脳の健康への 鍵となるかもしれません。」
「主に血圧を積極的に制御することでの白質病変に関するこれらの発見は、アルツハイマー病やそれに関連する認知症などの脳疾患の複雑さを 理解し、それに対処する科学を進歩させ続けているためとても心強いものです。」
とリチャード・ホデス博士は述べました。彼は、米国国立老化研究所の所長です。
研究者たちは、次のステップとして、血圧の制御が加齢に伴う脳障害の影響を受けた脳の重要な領域の白質病変の蓄積にどのように影響するか、 そして、一部の人々が高血圧治療に対してより反応するようになる要因は何なのかを調べることだと述べました。
【以下のウェブサイトより引用】
Tight Blood Pressure Control Could Help Save Aging Brains
Health Day