血圧薬が、自閉症の発作から脳を保護する可能性
2012年に行われた初期の臨床試験では、血圧の薬のブメタニドが自閉症の症状を緩和する可能性が見えました。しかし一部の研究者はそれに懐疑的でした。利尿剤は、どのようにしてこのような複雑な脳障害に影響を与えるのでしょうか。
それ以降、マウスおよびラットにおける研究がいくつか行われ、この薬物が過度に興奮した脳を静めることができることを示しています。
Neurobiology of Diseaseに3月10日に発表された研究では、新たな証拠が追加されています。
これは、ブメタニドが自閉症のリスクを上げる可能性のある幼少期の発作、外傷的な影響を和らげることができることを示唆しています。
研究者は、年齢5〜14日のラット(人間の1歳の子供と同等)へ、化学的に一日あたり7回発作を誘発しました。
発作が停止してから約18日後に、ラットはお互いにほとんど関心を示さないという、自閉症に見られる社会的な適応障害を彷彿とさせる行動を示しました。
彼らはまた、異常に強い神経結合を示唆する脳活動の異常なパターンを示しました。
薬物が脳内でどのように作用するかは正確には不明です。
研究者達は、それは、ガンマ - アミノ酪酸、または、抑制性脳信号を仲介する化学メッセンジャーのGABAの効果に関係があると推測しています。
GABAは、乳幼児早期に起こる興奮性作用ですが、脳の活動を後押しするのに役立ちます。
一部の研究者は、この興奮作用が自閉症児に引き続き発生する疑いをもっています。
ブメタニドで治療することは、発作の効果を減衰させ、その通常の阻害的役割がGABAを微調整すると考えられています。
新しい研究はまた、発作が自閉症の症状を悪化させる、もしくはそのひきがねになる可能性を説いた理論をサポートしています。
自閉症のある人の約30%が発作を起こした経験があり、さらにサブスレッショルド発作活動を示す脳の測定値をより多く持っています。
幼少期の発作も、自閉症に関連する病気で、症状を強めることがあります。
カリフォルニア州タホシティで開催された神経発達障害の経路に関するシンポジウムで、未発表ではありますが、ティモシーベンケ氏により、ラットにおいては、永久に、脆弱X症候群の根底にある分子経路を励起することができるという結果が示されました。
発作は、多くの場合、自閉症に関連する遺伝性疾患であるフェラン- McDermid症候群の人を悩ませています。
昨年の11月、私は一日で制御不能な発作が何百回も起こるというこの症候群を持つチャールズ君という若者に会いました。
ワシントンD.C.で行われた神経科学の2014年年次総会のサテライトシンポジウムでは、チャールズ君の母、ジェラルディン・ブリスさんが、これらの容赦ない発作は着実にどのように彼のコミュニケーション能力などの息子の能力を奪っているのかについて説明しました。
ブメタニドが人々に作用する場合、それはいつか、フェラン- McDermid症候群の子供たちを助けるかもしれません。
発作および社会的障害との間の関係が現実的となると、薬物で自閉症の早期治療ができるかもしれません。
(記事元)https://spectrumnews.org/opinion/blood-pressure-drug-may-protect-brain-from-seizures/