誤った情報によりはしかの症例が世界的に拡大
世界保健機関(WHO)によると、誤った情報とワクチン接種を受けていない集団により、ワクチン予防が可能なウイルス性疾患であるはしかの症例が世界的に増加しています。
アメリカ
米国では、ワクチンの毒性と悪影響に関する物議が醸された誤った情報がソーシャルメディアを通して拡散され、それがアンチワクチン派を駆り立てています。
そのような集団によってはしかが引き起こされる危険は非常に大きいため、WHOは『抗ワクチンキャンペーン』を2019年に世界の健康に対するトップ10の脅威のうちの1つとして宣言しました。
ワシントン州クラーク郡では、新たに50件のはしかの症例が確認され、さらに11件の疑いのある症例が確認されています。
ワシントン州には、インフォームドチョイスワシントン(Informed Choice Washington)のようなワクチン反対派のオンラインコミュニティが存在します。
国立アレルギー感染症研究所の所長であるアンソニー・フォーチ博士は、この声明の中で、次のように述べています。
「はしかの集団発生はこれら抗ワクチン運動によるものです。」
ヨーロッパ
2017年から2018年の間に、ヨーロッパで報告されたはしかの症例数は3倍になり、この期間の症例数の合計は82,596件でした。
WHOによると、これは10年間で最も多い症例数です。
世界中でワクチン接種率が改善されているにもかかわらず、WHOはこれがまだいくつかの国ではウイルス感染の拡大を防ぐのに十分ではないと言います。
昨年最もはしかの症例が多かったのはウクライナで、53,218件、記録されました。
そして、2番目に多かったのがセルビアの5,076症例でした。
第1位と第2位の症例数は10倍の違いがあります。
興味深いことに、ウクライナは過去10年間で予防接種率が急激に低下しているのです。
ヨーロッパの症例の90%は、イスラエル(2919症例)、フランス(2913症例)、イタリア(2517症例)、ロシア連邦(2256症例)、ジョージア(2203症例)、ギリシャ(2193症例)、アルバニア(1466症例)、ルーマニア(1087症例)など、10カ国で構成されています。
英国では、昨年報告されたはしかの症例は953件でした。
はしかの症例数の増加は死亡率にも影響を与えています。
昨年、ヨーロッパではしかにより72人が死亡しました。
前年度中に報告された42件の死亡症例と比べ急激に増加しました。
WHOのヨーロッパ担当地域責任者であるズサザンナ・ジャカブ博士は、次のように述べています。
「2018年の状況では、予防接種率の引き上げにおける現在の進歩速度は、はしかの流行を止めるには不十分であることが明らかになりました。データは地域レベルでは非常に高い予防接種率を示していますが、それらはまた、この疾患の感染例、死亡例も記録的な数となっています。これは、地域レベルでのギャップがあり、地域によっては依然として感染が広まりやすいことを意味します。」
その他の国
フィリピンでは、過去数週間で1500人を超える症例が発生し、26人の死亡が確認されています。
マニラ首都圏の中心部では441件の症例が発生しうち、5人が死亡したと当局は述べています。
保健省長官であるフランシスコ・ドゥケ氏は、「過去数週間で症例が増えたことが原因で、マニラ首都圏から他の地域へ拡大することが予想されます。新たな症例が出た場合は、監視を強化し、母親や介護者らには用心深くするようにと警告しています。」と述べました。
保健省次官のエリック・ドミンゴ氏は、予防接種の割合が全国的に低かったことがこの発生の原因となっている可能性があると述べました。
彼は、政府が2016年にDengvaxia接種プログラム(製薬会社Sanofi
Pasteurによるデング熱の実験的ワクチンプログラム)を開始した後、突然それを停止したことで、ワクチン接種による疾患予防に関しての懐疑論が高まっていると説明しました。
これが予防接種率の低下をもたらし、ワクチン未接種の子供の数は、昨年10万人を超えました。
ドミンゴ氏は、はしかワクチンについて、「安全であり、何十年もの間、世界中で使用されてきました。」
と、子供の両親や介護者に予防接種を受けるように促しています。
【以下のウェブサイトより引用】