貧困、その他の不遇が高い喫煙率に結びつく
(ロイターヘルス) - 人々は直面している逆境が多くなればなるほど、喫煙を始める可能性が高まり、禁煙する可能性が低くなると、
米国の研究が示唆しています。
研究者らは、278,048人の成人に焦点を合わせた、10年間の全国調査からのデータを調べました。
そこでは、喫煙について質問がされ、それと同時に、失業、貧困、低学歴、身体障害、深刻な心理的苦痛、飲酒など6つの社会経済的、
または健康関連の不遇についても尋ねられました。
『JAMA Internal Medicine』によると、上記のような逆境のない人々では、約14%が喫煙しています。
それぞれの不遇な出来事が増すと、喫煙率は上昇し、6つすべての逆境がある人々の間では、それは58%に上昇しました。
同様に、不遇な状況がない、またはたった1つか2つの逆境しかない人々の場合、喫煙率は2008年から2017年にかけて毎年低下しています。
しかし、3つ以上の不遇な状況がある人々の間での喫煙率は、時間の経過があっても変わりませんでした。
「私たちの研究では、貧困、身体障害、精神疾患など、さまざまな種類の不遇がすべて相応の結果につながるという驚くべき発見をしています。」
主任研究著者であるサザンカリフォルニア大学エモーション&アディクション研究所のアダム・レベンタール博士は述べています。
全国的に、喫煙は近年あまり一般的ではなくなったとレベンタール博士は言います。
しかし、その喫煙の減少は、不遇な点があたとしてもごくわずかである人々に集中しています。
「今日、米国では、不遇が喫煙の一般的な原因となっています。さらに不遇な出来事に直面すると、喫煙でまぎらわすことが多くなります。」
とレベンタール博士は述べています。
「不遇な状況で喫煙を開始する可能性が高く、喫煙をやめる可能性が低いことが説明されています。」
参加者の21%近くが不遇な点をひとつは報告しましたが、多くの人が1つ以上の不遇を経験していました。
ほぼ9%に2つ以上の不遇な出来事がありました。
4%が3つの不遇な出来事を報告しました。
1.6%には4つ、5つと6つ全部を報告したのは、 0.04%でした。
この研究では、参加者のおよそ5人に1人が経験した、『障害』が最も一般的な不遇でした。
貧困と、低学歴もまた一般的であり、それぞれが調査に参加した人々の13%に見られました。
参加者のほぼ8%が失業者でした。
深刻な心理的苦痛を抱えていたのは、わずか4%未満で、飲酒(ヘビードリンカー)は2.6%でした。
この研究の限界の1つは、喫煙者の喫煙量や使用したタバコ製品の種類を調べていないことです。
また、調査で簡単な行動上の健康対策を行っても、精神的健康問題や、喫煙に関連する物質使用障害を抱える人全員を、
把握できなかった可能性もあります。
フィラデルフィア小児病院のステファニー・メイン博士は次のように述べています。
「社会経済的地位の低い喫煙者は、社会経済的地位の高い喫煙者と同じくらいタバコをやめようとしますが、
禁煙に成功する可能性は低いため、時間の経過とともに格差が拡大しました。」
リスクを増大させるように作用するこれらの各リスク要因については完全には明らかではありませんが、
これらのリスクをより深く理解することは、個々の患者が経験する可能性のある不遇の種類に、
禁煙支援策を組み合わせることに役立つでしょうと、
カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究員である、エリック・リース氏は述べています。
彼は、この研究にはかかわっていません。
「たとえば、禁煙を試みようとする、心理的苦痛と貧困といった2つの危険因子を持つ喫煙者たちがいるとします。
彼らには潜在的に心理的苦痛を助けるための手段と、彼らが禁煙を試みている間、治療費を補助するなどの何かをサポートします。」
「禁煙を試みている患者であれば、それを困難にする要因(心理的苦痛、飲酒、治療費の支払いなど)を特定して対処することが、
禁煙する能力を向上させる一歩になります。 」
と、リース氏はつけ加えました。
【以下のウェブサイトより引用】