赤ちゃんの腸内細菌が将来の肥満を予測する可能性
幼児期での肥満の増大という問題に関する新しい研究は、赤ちゃんの腸内細菌が、その後の数年間での体重の問題を示しているかもしれないことを示唆しています。
研究者たちは、赤ちゃんの腸内細菌叢(消化器系の細菌やその他の微生物)と、太りすぎや肥満の一般的な指標である『肥満度指数』を調べました。
この研究は、金曜日に米国心臓協会の疫学、予防、ライフスタイルおよび心臓代謝健康についてのオンライン会議で発表されています。
「幼児期の体重増加に関連する、変更が可能な初期の人生での要因を特定することは、齢を重ねてからの心血管の危険因子と心臓病を予防する機会となる可能性があります。だからこそ、子供たちの細菌叢にまず焦点を当てました。」
と研究を主導したモイラ・ディファーディング博士は述べています。
米国疾病予防管理センターの最新の統計によると、2017年~2018年では、2歳〜5歳の子供の13.4%が肥満であり、6歳〜11歳の子供では20.3%に上昇しました。
また、ボルチモアにあるジョンズホプキンスブルームバーグ公衆衛生大学院の博士号候補者であるディファーディング氏は、動物と高齢者が参加した過去の研究では、腸内細菌叢の破壊が『低レベルの炎症』を引き起こす可能性があり、それが体重増加と肥満に寄与する可能性があることを示唆しています。
人生の早い段階でのその関係を追跡するために、研究者たちは、ニューハンプシャー州の週齢6週間と1歳の両方の乳児、200人以上の糞便サンプルから抽出された細菌叢を調べました。
次に、5歳までのBMIを測定しました。
週齢6週間の乳児の糞便中の2種類の細菌(クレブシエラとシトロバクター)の存在量が多いほど、成長段階でのBMIがより高いことと関連していました。
同じことが1歳の糞便で見つかった細菌プレボテラにも当てはまりました。
この調査結果は、査読付きジャーナルに掲載されるまで予備的なものと見なされます。
バトンルージュにあるルイジアナ州立大学ペニントン生物医学部研究センターで、身体活動と肥満疫学の教授であるピーター・カッツマルジク博士は、次のように述べています。
「それは、より若い年齢で保持している微生物叢が実際に2年〜5年後の子供のBMIを予測することを示しています。私たちの知識を広げる素晴らしい発見です。」
彼はこの研究には関与していませんでした。
乳児の微生物叢は、環境要因、食事、抗生物質の影響を受ける可能性があると、ディファーディング博士は述べています。
肥満に関連する微生物叢を最小限に抑える方法を理解することは、後年の体重増加との戦いに役立つ可能性があります。
「体はどの細菌が受け入れられ、どれが受け入れられないかを学ばなければなりません。」
と彼女は言います。
「人生の最初の年にその混乱がある場合、これは早い段階で問題を引き起こします。そしてそれがすぐに修正されない場合、後年になって体はより炎症反応を起こすかもしれません。」
もう1つの考えられる要因は、母乳育児です。
母乳で育てられた乳児の細菌レベルは、BMIの上昇との関連性はあまありませんでした。しかし、関連性を証明するには、更に多くの結果が必要です。
研究は進行中だと彼女は述べました。
カッツマルジク博士は、母乳育児の要素は興味深いものでしたが、決定的なものではないことに同意しました。
「母乳育児が実際に細菌叢を変化させるかどうかを調べるには、さらに研究が必要です。」
と彼は述べました。
「私たちは、乳児の腸内の細菌の混合が、数年後の肥満に関連していることを理解しています。
彼らの食事と環境にはそれに影響を与える何かがありますが、そのメカニズムはわかりません。」
他の研究では、母乳育児は小児肥満を軽減できることが示されていますが、微生物叢が原因ではないとディファーディング博士は述べました。
「母乳育児は全体的な健康にメリットがあります。」
と彼女は述べました。
「それは栄養が豊富で、抗体を作り出し、母子の絆を深めます。」
「しかし、母乳育児を超えて、これらの細菌がどのように子供の肥満を引き起こしているのかを理解する必要があります。赤ちゃんが母乳で育てられているかどうかにかかわらず、成長段階で肥満となる可能性を減らすことができるように、人生の早い段階で微生物叢を修正することが重要です。」
【以下のリンクより引用】
A baby's gut bacteria may predict future obesity
Medical Xpress