超音波検査で本態性振戦およびパーキンソン病の振戦が軽減する
- 研究者の報告によると、新しい超音波治療によるりパーキンソン病および本態性振戦患者の振戦が減少する
- 追加報告によると、この手術により、手術に伴うリスクを排除し、入院期間を短縮することができる
- 治療の可用性は限られている。この手術はアメリカの16個の州を含め、世界の約50%で実施されている。
研究者は、パーキンソン病患者の振戦を治療する新しい方法を明らかにしました。
この治療方法では、従来の外科手術の代わりに超音波治療を用います。
この治療は、シカゴで行われる北米放射線医学学会の年次総会で公式に発表される予定です。
治療では、音響エネルギーの集束レーザビームを用い、視床と呼ばれる脳内構造の小さな領域を熱し、破壊します。
ここで使われる技術が、MRガイド下集束超音波(MRgFUS)です。
体の反対側を緩和する、すなわち脳の右側を治療することで、例えば、体の左半分の症状改善に役立つことがあり、その逆もまた然りです。
「体の片側に限って言えば、私が知る限りこの治療は効果的です。」と、キャセイ・H.ハルペーン医師はHealthlineへの取材で述べています。
彼は、カリフォルニアにあるスタンフォード・ヘルスケアの神経外科医であり、超音波治療を研究、使用しています。
「特に体の半分に起こる振戦に効果的です。これは、リスクと報酬の問題です。劇的な改善が見込めます。」
<超音波の利点>
医師は従来、パーキンソン病および本態性振戦の患者を、小型の電極を外科手術で脳内に設置し、ペースメーカーのように胸部に埋め込んだパルス発生器に接続することで治療してきました。
超音波の使用には、たくさんの利点があります。
超音波は、手術固有のリスクを取り除きます。
リスクには、感染や出血、脳卒中リスクの上昇があります。
また、入院期間も短くなります。
この治療は「体の弱った患者でも比較的忍容性が高い」と、フェデリコ・ブルーの氏は声明の中で述べています。
彼は研究の筆頭著者であり、イタリアにあるラクイラ大学生物工学と応用臨床化学学部の放射線学者です。
<研究結果>
ブルーノ氏のチームは、平均64歳の39人を対象に研究を行いました。
全ての被験者は最低10年間振戦に苦しんでおり、治療にも効果を示していませんでした。
18人の被験者は本態性振戦を、21人の被験者はパーキンソン病を患っていました。
研究者の報告によると、39人中37人の被験者に、振戦の大幅な、素早い現象が見られたといいます。
翌年の追跡調査では、両群において大幅な改善が示されました。
「治療は1回のみ、通常外来患者扱いで行われます。」と、モーリス・R.フェール博士は言います。
彼は、この研究で使われた超音波装置を製造する、インサイテックの会長およびCEOです。
フェール氏はHealthlineへの取材の中で、効果は絶大であると述べています。
「集束超音波治療の直後、多くの本態性振戦患者が自身の名前の署名を行うことができるようになり、これは数年来初めてのことでした。」と、彼は言います。
「私たちが行った臨床研究に参加した患者は、3年後の追跡調査時点で、振戦の重症度が76.5%改善していることが示されてました。また、報告された副作用の74%が軽度であり、残りは中等度のものでした。」
ハルペーン氏は、結果がすぐに分かることで、医師にとっても役に立つと述べています。
「集束超音波治療を行うと、直ちに結果が表れます。」と彼は言います。
「すぐさま反応が表れ、効果があることが直ぐに確認できるのです。」
<この研究に対する反応>
サンディープ・タッカー氏は、カリフォルニア州ニューポートビーチにあるピックアップファミリー神経科学研究所の所長を務めています。
彼は、超音波治療効果の持続期間については「議論の余地がある」ものの、効果は一般的に薬によって得られる範囲を超えていると話します。
「効果のある薬は非常に少なく、効果があったとしても短期間しか持続しません。」と、タッカー氏はHealthlineへの取材で話しています。
ジーン-フィリップ・ランジェビン氏は、カリフォルニア州サンタモニカにあるプロビンス・セントジョンズ・ヘルスセンターで神経外科医を務めています。
「これは主に上肢に振戦のある患者に向けた治療です。インプラントの使用に気が進まないと感じる人もいるでしょう。超音波治療は、低侵襲性である可能性があります。」と、彼は言います。
ランジェビン氏は、手術に伴うリスクの一部は大幅に減少されるものの、視床の一部を破壊することで、しびれの感覚が出るリスクがあると付け加えました。
「発話障害が出る可能性もあります。。話しが不明瞭になることがあるのです。」と、彼は述べています。
「90~95%の人には、副作用が出ません。」と、ランジェビン氏は言います。
「(除去されるのは)視床全てではなく、ほんの僅かのみなのです。」
医師は、この治療法は有用性が限られる為最初は高価になると述べています。
「現状、情報が出ておらず、容易に利用できる状況ではありません。」とタッカー氏は言い、既に実施されている場所としてスタンフォードおよびUCLAを挙げています。
フェール氏は、世界の約50%が、パーキンソン病および本態性振戦患者に対して集束超音波を使用しており、これには米国の16州も含まれると話します。
「これは重要な治療法であり、病院による導入が求められています。」と、ハルペーン氏は言います。
「高価ですが、この疾患は非常に一般的であり、多くの人が罹患しています。重要な投資な訳ですから、私たちは、病院関係者にこの治療法に関する周知を行う必要があります。少数の特別な施設でのみ行われるべき治療ではありません。」
出典: 2019年11月25更新 healthline『Ultrasound Procedure Reduces Tremors in Parkinson’s Disease, Essential Tremor Disorder』(2019年12月2日に利用)
https://www.healthline.com/health-news/new-procedure-reduces-tremors-in-parkinsons-disease#Advantage...