過活動膀胱の男性を救うのは?
2020年1月14日(HealthDay News)- 男性は、排尿衝動を抑制する方法を学ぶことが過活動膀胱を治療するために必要な治療法の全てかもしれないと新しい研究では示唆されています。
薬物と行動療法の組み合わせが薬物単独よりも効果的であるように思えますが、行動療法単独も薬物単独よりも良好に機能したことを研究者らは発見しています。
過活動膀胱の204人の男性を対象とした試験では、行動療法が治療を開始する良い方法である可能性が示唆されていると研究著者らは述べました。
「この研究は、過活動膀胱の男性のグループに対して、前立腺肥大による閉塞のない症状が行動療法だけでうまく管理できるという好ましい証拠を提供しています。」
と、この研究には関与していない、マニッシュ・ビラ博士は述べました。
彼はニューヨーク州レイクサクセスにある医療機関、ノースウェルヘルスのアーサースミス泌尿器科の副部長です。
過活動膀胱に通常処方される多くの薬剤は、特に複数の薬剤を使用している年配の男性では重大な副作用があると、ビラ博士は付け加えました。
この試験では、アラバマ州にあるバーミンガムVAメディカルセンターの研究副部長であるキャサリン・バージオ博士と同僚が、6週間の行動療法単独、薬物療法単独、または薬物と行動療法の併用に男性をランダムに割り当てました。
最初の6週間の終了後、すべての男性がさらに6週間の併用療法を受けました。
行動療法は、男性の骨盤底筋トレーニングに加えて、排尿の衝動を抑え、排尿を遅らせるといった技術トレーニングが行われました。
処方薬には、トルテロジンとタムスロシンが含まれていました。行動療法と同様に、治療薬はほとんどの保険でカバーされています。
過活動膀胱の症状はすべてのグループで減少したことがこの研究では確認されました。
併用療法ではその症状が31%、行動療法単独で25%、薬物単独では13%減少しました。
さらなる分析により、併用療法は薬物療法と比較して排尿の頻度を有意に低下させることがわかりましたが、行動療法単独と比較した場合ではそうではありませんでした。
すべての男性が併用療法を受けた後、最初から薬物療法と行動療法を受けた人が排尿の頻度が最も減少したという結果が示されました。
「一部の臨床医は併用治療を提唱していますが、大部分は骨盤底筋トレーニングや排尿遅延などの行動要素を標準治療に採用していません。」
と著者らは報告書の中で結論付けました。
「行動療法は、看護師、ナース・プラクティショナー、および理学療法士により実施でき、さまざまな外来患者の環境下で広く適用することができます。」
スタンフォード大学の2人の医師は、この発見は泌尿器科医が10年以上にわたって提唱してきたことを裏付けていると述べ、過活動膀胱の管理に関する米国泌尿器科学会の治療ガイドラインをサポートするものだと述べました。
「患者は症状に対処するために、薬物を欲しがることがよくありますが、この研究は、薬物療法単独よりも効果的であるため行動療法から始めるか、骨盤底運動を薬物療法と組み合わせるよう推奨しています。」
と、それぞれ泌尿器科、産婦人科の助教授である、クレイグ・コミター博士とエケネ・エネムチュク博士は述べました。
彼らはこの研究には関与していませんでした。
行動療法から始めれば、口の渇き、ドライアイ、便秘、記憶の変化、眠気などの過活動膀胱薬に関連する副作用を防ぐことができると彼らは述べました。
一次治療が成功しなかった場合に、薬剤が追加される可能性があることをコミター博士とエネムチュクウ博士は示唆しています。
また、行動療法なのですぐに薬物療法と組み合わせることも可能です。
「患者が薬だけで治療されねばならないといった例はほとんどありません。“症状を改善するためにお薬をもらえますか?”という問いに対しての答えは圧倒的に“いいえ”であるべきなのです。」
とコミター博士とエネムチュクウ博士は助言しました。
この報告は、1月13日にJAMA内科(JAMA Internal Medicine)のオンライン版で公開されました。
この研究は、アメリカ国立糖尿病消化器病学会によって資金が提供されています。
【以下のリンクより引用】
What Works Best to Help Men With Overactive Bladder?
HealthDay