遠隔監視システムが高血圧の制御に役立つ可能性
2020年8月31日 - 遠隔医療は高血圧の人々の数を減らすのに役立ち、長期的には心臓病や脳卒中のリスクを下げる可能性があると、新しい研究が示しています。
医師は、高血圧の人は自宅で血圧測定器を使用して自分の数値を追跡することを既に推奨しています。
しかし、研究によれば、家庭での測定値だけでは、血圧の状態を制御する上でわずかな違いしか生じません。
アメリカ・ミネアポリスにあるHealthPartners Instituteのリサーチ担当部長であるカレン・マーゴリス博士は次のように述べました。
「人々は実際に自分で行動を起こすための媒体となるものがありません。」
「また、家で高い数値が出た場合に何をすべきかについての明確なプランがない場合は、どんな問題であっても定期的な医師の診察のみでしか明らかになることはありません。」
そのため、マーゴリス博士と彼女の同僚は、患者を更に助けるために「遠隔監視プログラム」をテストしました。
次の18か月間で、この戦略は機能しました。
研究によると、標準治療を受けている患者と比較して、遠隔監視プログラムに参加している人は、平均して7〜10ポイント余分に血圧を下げました。
また、報告によると、5年以上に渡り、心臓発作や脳卒中、または心不全を発症する可能性は半分でした。
マーゴリス博士によると、この調査結果は統計的有意性はなく、偶然によるものであった可能性があります。
しかし、心臓血管障害のある患者の数が、かなり少なかったためかもしれないと彼女は言います。その場合は、統計的に有意な差を見つけるのが難しくなります。
アメリカ心臓協会の心臓専門医でありボランティアの専門家であるトレーシー・スティーブンス博士もこれに同意しました。
「これはより大きな研究を呼び込むものです。」
と彼女は述べました。
しかし、スティーブンス博士によると、より広範に言えることは自宅での監視が重要であるということです。
ミズーリ大学カンザスシティスクールオブメディカルスクールの医学教授でもあるスティーブンス博士は、次のように述べました。
「診療所行われる血圧測定は、私たちの日常生活で何が起こっているかを反映していない可能性があります。」
「私たちは家庭で測定した血圧を元に治療を行いたいのです。」
スティーブンス博士は、元気だからと言って、血圧が制御されていると思い込むことはできないと強調しました。
「高血圧はサイレントキラーです。」
と彼女は述べました。
そして、それは心臓病と脳卒中だけでなく、認知症、腎臓病、潜在的に失明の可能性のある疾患や勃起不全などにも影響します。
Hypertension誌で8月31日公開されたこの新しい調査結果は、高血圧が制御されていない450人の患者の記録に基づいています。
彼らの測定値は一貫して140/90 mm Hg(または糖尿病または腎臓病の場合は130/80 mm Hg)以上でした。
半分は無作為に標準ケアに固執するよう割り当てられ、残りは1年間の遠隔監視プログラムに参加しました。
遠隔監視グループの人々は、彼らの測定値をセキュリティが安全なウェブサイトに送る血圧モニターを与えられました。
最初の6か月間、血圧が落ち着くまでは、2週間ごとに薬剤師に電話で連絡を取りました。
その後、診療所への訪問は2か月ごとへ調整されました。
マーゴリス博士によると、薬剤師は投薬量を微調整する以上のことを行ったといいます。
彼らはまた、副作用と生活習慣の管理についても話し合ってくれました。
この調査では、遠隔監視グループの患者は18か月以上かけて血圧が大幅に改善したことがわかりました。
5年目の調査では、心血管合併症を患っていたのは、標準治療グループの8.6%と比較して、遠隔監視グループでは4.4%のみでした。
マーゴリス博士によると、この調査結果が家庭で定期的に血圧を測定し、それに基づいて行動することを支持しています。
マーゴリス博士によると、現在、一部の医療システムには、調査を行ったものと同様の遠隔監視プログラムがあります。
しかし、スティーブン博士は、そのような技術がなくても、基本的な監視システムを使用して自宅で自分の数値を追跡し、気になることがあれば医師に連絡するようにと付け加えました。
遠隔監視と電話訪問には費用がかかります。
マーゴリス博士とそのチームは、患者1人あたり約1,500USドルと計算しました。しかし、合併症が少ないのであれば、患者1人あたりでは1,900ドルの節約になります。
【以下のリンクより引用】
Remote Monitoring May Help Control High Blood Pressure
Healthday