関節リウマチの治療に有望なJAK1阻害薬
JAK1阻害薬フィルゴチニブは、1つまたは複数DMARD(抗リウマチ薬)での治療がうまくいかなかった関節リウマチ患者に有効であることが示されて います。
アメリカの査読付き医学雑誌JAMAの7月23日号に発表されたこの研究には、毎日100 mgまたは200 mgの服用で、12週間治療が行われた448人の 患者での結果が示されています。
プラセボで治療された患者と比較して、この治療は、「12週目に臨床的反応(ACR20改善)を達成する割合が有意に高くなった」と、スタンフォード大学医学部のマークC.ジェノベーゼ博士が率いる研究チームは記しています。
治験中の患者はすべて屈折性関節リウマチが活発であるため、通常は第一選択療法と考えられているTNF阻害剤で治療されていました。しかし、 一部の患者ではその効果がなかったり、また他の患者では副作用が発生し、別の治療薬へ切り替える必要がありました。
関節リウマチについての指標である米国リウマチ学会の治療ガイドライン(2015)では、「従来のDMARD単独療法(ほとんどの場合はメトトレキサートによる治療)に対する反応が不十分である場合、従来のDMARD療法の3種類の混合治療、または、生物学的あるいは非生物学的な腫瘍壊死因子の 置換、またはJAK阻害剤の経口薬の服用」が推奨されています。
以前、関節リウマチ患者の第II相臨床試験では、フィルゴチニブが単剤療法とメトトレキサートの併用療法の両方で有効であることが示されました。
この研究には448人の患者(平均年齢56歳、うち360人が女性)が含まれており、そのうち105人は少なくとも3種類のDMARD治療を試し381人は治験を完了しました。
12週目に、100または200 mgのフィルゴチニブを投与された患者の66%は、プラセボ群の31.1%と比較してACR20応答を達成しました。
最も一般的な副作用は、フィルゴチニブ200 mgが投与された患者の10%で見られた鼻咽頭炎でした。
また、フィルゴチニブ100 mgの投与を受けていた患者の5.9%で頭痛、鼻咽頭炎、上気道感染が発生しています。
また、合併症のない帯状疱疹の症例が4件あり、大きな心血管疾患と網膜静脈閉塞が各1症例ありました。
他のJAK阻害剤であるウパダシチニブ、バリシチニブ、およびトファシチニブは、第III相試験で試験されています。
4mgのバリシチニブで治療された患者の55%と比較して、ウパダシチニブで治療された患者の65%が治療開始後12週目までに、ACR 20改善を 達成しました。
そして、5 mgのトファシチニブで治療された患者の42%が24週間の間に治療効果を維持するかまたは改善が見られました。
JAK1阻害剤として、フィルゴチニブは関節リウマチの有望な新規治療薬です。
現在、米国では、トファシチニブ(JAK1、JAK3およびJAK2)とバリチチニブ(JAK1およびJAK2)の2つのJAK阻害剤が市場に出回っています。
「重篤な副作用はJAK阻害薬での懸念事項です。」
と著者は記しています。
関節リウマチの治療で現在承認されている2つのJAK阻害薬である『トファシチニブ』と『バリチチニブ』は、重篤な感染症と悪性腫瘍に対してブラックボックス警告があります。
『バリシチニブ』は血栓症についてさらに注意が喚起されています。
JAKサブタイプの阻害はこれらの薬物に異なるリスクを与える可能性があるのか、またはどのようにこれらの薬物に相対的な効力の違いがあるのか などには多くの仮説が浮上していますが、これらの問題は未解決のままです。
これらの結果を確認するためには、今後、長期的に行われる有効性と安全性の研究が必要であると著者らは記しています。
【以下のウェブサイトより引用】
JAK1 Filgotinib Promising for Rheumatoid Arthritis
rheumatology network