難治性癌への有望な治療薬の発見

ニュージーランドの研究者は、不治の血液がんに対する有望な薬剤である可能性があるものを見つけました。

出版されたばかりの知見に基づいて、オタゴ大学の研究者は、何十年も前の抗生物質やそれをベースとする抗菌薬が骨髄腫の患者へ希望を与えるものかどうかを知りたいと熱望しています。

毎年約360人のニュージーランド国民がこの病気と診断されています。

病気は骨髄に通常発生する形質細胞の癌です。

研究者の論文には、数年に渡り、骨髄腫が成長し続けていた86歳の患者について記載されていました。

彼の年齢および重大な徴候または症状の欠如のために、その男性の主治医である血液学者は積極的に治療するよりもむしろ癌を観察することを選択しました。

しかし、胸部感染がみられロキシスロマイシンと呼ばれる抗生物質の10日間の投薬を始めると、がんを示すパラプロテインレベルが半減し、ヘモグロビンレベルの上昇が確認され主治医は驚きました。

血液学者のイアン・モリソン博士と、博士のグループは、“完全に偶然だった”という薬への反応に遭遇したと話しました。

患者の症状の改善は6ヶ月後も続いたのです。

「未治療の骨髄腫の患者では、パラプロテインレベルは通常は非常に安定していますが、彼の腫瘍の縮小度は並外れていました。」と、モリソン博士は述べました。

「ヘモグロビンの持続的な改善は、骨髄中の骨髄腫の量が減少していることを強く示唆しています。」

研究チームの関心は、関連する抗生物質であるクラリスロマイシンの以前の結果によって裏付けられました。

「数年前、クラリスロマイシンに対するいくつかの顕著な反応が観察されましたが、その後は、他の治療法との併用であり反応は控えめでした。しかし、ロキシスロマイシンの薬理学はクラリスロマイシンよりはるかに有利であるため、それが優れていると考える理論的根拠があります。」と彼は語りました。

この発見は、骨髄腫をどのように治療すべきかを考えると、さらに期待に胸が膨らみます。

血漿または骨髄腫細胞は、我々の免疫系の抗体を作る正常な形質細胞とあまり変わりません。しかし、その成長は遅く、急性白血病などの化学療法で治療するのが容易な癌は、その細胞もより速く増殖する傾向があります。

「化学療法は、正常な骨髄細胞、腸細胞、有毛細胞を含む多くの、急速に増殖する細胞を死滅させますが、これらの正常な細胞は回復することができっます。」とモリソン博士は説明しています。

微分細胞増殖がない場合、化学療法はその癌の特定の特徴を標的とする必要があります。

「骨髄腫症例の遺伝的異常は非常に異質であるため、骨髄腫治療の標的となる単一の細胞経路はありません。」

しかし、彼は、近年、骨髄腫治療の進歩がかなり注目されていることを付け加えました。

ニュージーランドは、予後に大きな変化をもたらした薬剤であるボルテゾミブなどが、早い時期に、合理的に入手が可能でした。

ロキシスロマイシンでも、モリソン博士は報告されたメリットが、世界各地の類似した薬剤が彼のチームに警鐘を鳴らす可能性があることを望んでいました。

「ニュージーランド周辺の多くの血液学者が本件を認識しており、同様の薬物対応を求めています。」

日本のある血液学者が、この薬を使用しようと研究者に次のように連絡していました。

「薬剤の有効性についての事例といった証拠が得られれば、適切な患者への正式な治験が検討できます。」

モリスン博士は、ロキシスロマイシンは簡単に手に入れることのできる薬で、一般的に10日間の投薬コースで3ドル程度のコストであると述べました。

そしてそれは、製薬会社が、骨髄腫の研究活動に興味を示さないことを意味しました。

しかし、この薬剤は多くの国では使用されず、他の海外の科学者が同様の反応を確認する機会は限られていました。

博士のチームはそれにもかかわらず、研究によって投げかけられた最も魅力的な質問のいくつかに熱心に回答を行っていました。

「ロキシスロマイシンの可能性に対する私たちの情熱はすべて、ひとりの患者に由来しています。」

「何か私たちが知らなかったことが現在進行形で進んでいるのでしょうか。骨髄腫細胞の遺伝的構成に起因してロキシスロマイシンに反応するのは100人中1人程度なのでしょうか？この薬剤を治療の選択肢として促進するには、同様の反応でより多くの症例を確認する必要があります。」

【以下のウェブサイトより引用】