音楽のマイリストが認知症の改善に役立つ
音楽は病気の影響を受けていない脳の一部を活性化させる可能性があるため、
小児期や幸せだった瞬間の思い出を思い起こさせるような音楽のマイリストを作ることで、認知症患者に喜びをもたらす可能性があります。
スコットランドのグラスゴーで開催されたプレイリスト・フォー・ライフ・チャリティー(the Playlist for
Life charity)の副議長である、
アンディ・ラウンデス氏は次のように述べています。
「社会の中で私たちが抱えている最大の課題の1つは、非常に多くの人々が長生きし、人生の後半で認知症を発症しているということです。」
この慈善団体はこれまでに認知症の治療に、音楽を使用するため4,650人の医療スタッフを訓練し、そのボランティアが2015年以来、
21,000人以上の人々に達したと推定しています。
「認知症治療薬が不足していることを考慮し、私たちは、薬剤ではない治療法に大きな関心を寄せています。」
とラウンデス氏は述べています。
その音楽探索プログラムを通して、プレイリスト・フォー・ライフでは認知症患者の家族が本人とゆかりのある親族などと話し、
どの音楽が本人にとって幸せな思い出を生み出すのかを見つけ出すことを奨励します。そういったプレイリストは認知症を発症する前に作られるのが理想的です。
The Lancet Neurologyに掲載された最近の記事では、エジンバラ科学祭(the Edinburgh
Science Festival)において、
ラウンデス氏とエジンバラ大学の精神科医であるトム・ラス博士による、今年の初めに行われた発表について説明されています。
2013年に設立された『プレイリスト・フォー・ライフ』は、スコットランドの放送局のキャスターであるサリー・マグナッソン氏によって
設立されたとラウンデス氏はで説明しました。
マグナッソン氏は母親が認知症を発症したとき、母親になじみのある音楽を演奏することが思い出を引き起こし、
喜びをもたらしたとうことを知り、そのテクニックを他の人と共有するための慈善団体を設立しました。
「彼女の母親は言葉を使うという能力をほとんど失いましたが、サリーが彼女の「人生のサウンドトラック」を歌うといつでも、
彼女の母親は、歌を最初から最後までハーモニーを付けて歌うことができました。」
「記憶の断片が、個人的に意味のある曲につながっていました。」
この記事によると、プレイリスト・フォー・ライフのボランティアは、認定された音楽療法士ではないものの、
スタンフォード大学で開発されたプロトコルの第5版に準拠しています。
そこでは、入浴などの困難な活動の30分前にこのセッションを開始することが提案されています。
マイリストを作成するために、ラウンデス氏は3つのステップを推奨しています。
第一に、多くの輝かしい記憶が作り出される10歳から30歳までの間に聞いたであろうトップソングをチェックしてください。
プレイリスト・フォー・ライフは “100年、1世紀の歌(100 Years:A Century of Song)"を作成しました。
これは1915年から2015年の間に毎年100曲の最も人気のある曲をリストアップしています。
(ウェブサイトはこちら: bit.ly/2WZ8DMD)
第二に、子供時代の記憶に由来する、あるいは親友や元のガールフレンド、ボーイフレンドによって送られた「継承トラック」を追加してください。
「私のプレイリストに載っている曲の1つは『My Fair Lady』からの音楽です。
私の父が、毎週日曜日に音楽を聴きながら誰が皿を洗っているのか確認するための曲です。」
とラウンデス氏は笑いながら言いました。
第三に、遺産、国籍、民族性に関連する「アイデンティティ」トラックを追加します。
たとえばラウンデス氏はグラスゴーの出身で、その遺産を覚えておきたいため、子供の頃に教会に通っていた時に聞いた曲を追加しました。
「認知症の人にも感情があり、それは、年をとっても回復することができるため、認知症によって人格が破壊され、
個性が失われることがなくなります。」
と、イタリア、アンコーナにある国立老人保健施設のアントニオ・チェルビーニ氏は述べています。
「大多数の患者には、興奮したり、挑戦的な行動に出るだけでなく、無関心になったり鬱うつ症状も病も引き起こす行動障害を発症します。」
とチェルビーニ氏は述べました。
「薬物療法はこれらの治療にはあまり効果的ではなく、副作用があるため、効果的な非薬物療法を評価して実施する必要があります。」
【以下のウェブサイトより引用】