食後の眠気と長期の記憶力との関係

食後の眠気は長期記憶の形成との間に関係があるかもしれないと神経科学者のチームはウミウシの脳活動に関する研究に基づいて結論付けています。

この研究は、Nature Research Scientific Reports誌に掲載されています。

「心のこもった食事の後の「食事による眠気」は、感謝祭のディナーを食べたことがある人なら誰でもよく知っている。」

と、ニューヨーク大学神経科学センターの教授で論文の上級著者であるトーマス・カリュー氏は言います。

「実際、ほとんどの動物はカロリーを大量に摂取した後、横になって休む傾向がありこの反応には生物学的機能があることが示されています。」

「我々の新しい研究では、摂食に対する「休息と消化」反応は進化によって形作られ、長期記憶力の形成を促進した可能性があることを提唱しています。」

Carew labのポスドク研究員であるニコライ・ククシキン氏と、NYUの卒業生であるシドニー・ウィリアムズ氏を含むチームは、カリフォルニア海に生息するウミウシであるジャンボアメフラシを研究しました。

アメフラシは、脊椎動物などの高等生物と比べそのニューロンが10から50倍大きいため、この種の研究に強力なモデル生物です。これらは比較的小さなニューロンのネットワークを所有しています。これは、神経活動と他の活動との間の連鎖の検査を容易に可能にする特性があります。

彼らの分析によると、科学者らは食物摂取と脳に関する既存の学識も考慮しました。

「ヒトでは、食物摂取はホルモンインスリンの放出を促進し、それが体の細胞が血流から栄養素を吸収し、それを長期保存のために脂肪に変えるように促します。」

とククシキン氏は説明します。

「しかし、インスリンは脳にほとんど影響を与えないと考えられています。対照的に、関連ホルモンであるインスリン様成長因子IIは、長期記憶形成を含む適切な脳機能に重要であることが示されています。ただし、その放出はカロリー摂取量に依存しません。」

「したがって、ヒトのインスリン様分子は、少なくとも2つの異なる機能モジュールに分離されます。インスリンに代表される代謝モジュールが摂食とエネルギーバランスを制御し、インスリン様成長因子IIを中心とする神経向性モジュールが記憶形成を制御します。」

アメフラシの研究で、科学者はこの種では、インスリン様分子の2つの異なるモジュールが、人間とは異なり、代謝機能と神経向性機能の両方を実行する単一のシステムに統合されていることを発見しました。

さらに、彼らは、アメフラシの神経系で産生される単一のインスリン様分子が、長期記憶の根底にあると考えられるメカニズムであるニューロン間の接触を同時に強化し、軟体動物の組織への栄養素の吸収を促進することを発見しました。

この研究では、食物摂取に対するナメクジの行動反応の監視も行われました。

食物とはこの場合、通常の海藻の食事です。

ここでは、動物が満腹になるまで食べた場合、動物の運動活動が低下し、インスリン様受容体の働きを妨げることによりこの効果が阻害されました。

「このように、アメフラシの「食後の眠気」は、動物のエネルギーを活発な行動から栄養分と記憶の両方の貯蔵に向けて再分配することによって作用するインスリン様システムによって制御されます。」とカリュー氏は述べています。

「これらの結果は、インスリンおよび類似の分子が、ヒトおよび他の動物において食事関連および記憶増強特性の両方を引き出すメカニズムを理解するのに役立ちます。」

研究者たちは、アメフラシとヒトは、インスリン系を形成するホルモンの一般的な特徴を共有していることを指摘しています。

しかし、アメフラシでは、これらの機能は統合されていますが、人間では部分的に独立しています。

「人間の「食後の眠気」が私たちの進化の過去の痕跡であるか、それとも記憶形成の重要な部分であるかどうかはまだ確立されていません。」とククシキン氏は述べています。

「しかし、人間を含め多くの動物では、睡眠は起きている間に得た長期の記憶を適切に保存するには睡眠が必要であることが広く知られています。」

「おそらく、食事後に眠気が起こるのは、その食事についての記憶を保持するのと同様の方法なのです。」とカリュー氏は述べています。

「海藻であろうと感謝祭の七面鳥であろうと、おいしいディナーならまた食ベたくなりますから。」

【以下のウェブサイトより引用】

Medical Xpress