香港での政情不安では何百万人もPTSD、うつ病患者が取り残されている
2020年1月10日(HealthDay News) - ここ数カ月で大規模な抗議行動が香港を席巻しているため、精神的健康被害への取り組みが難しくなってきていると新しい研究では示されています。
10年以上にわたって行われた調査では、2015年3月の雨傘運動(Occupy Central)の直後(約5%)と比べ、2019年の9月と 11月(ほぼ32%)では、香港在住者の心的外傷後ストレス障害(PTSD)の有病率が6倍増加したことが示されています。
雨傘運動は、2014年後半からの数ヶ月間に香港の一部の機能を麻痺させた主に平和的な抗議活動に与えられた名称です。
そして、2019年の香港の社会不安の間、うつ病の有病率は、11%対2%で、以前の雨傘運動時よりも5倍高くなりました。
約200万人が最新の抗議活動で影響を受けたことを研究者は発見しましたが、抗議運動が広い範囲での精神的苦痛を引き起こしたということを証明できていませんでした。
CNNによると、昨年6月、犯罪者を中国本土に送還することを許可した犯罪者引き渡し法案に関するデモが始まりました。
その法案は廃止されましたが、抗議デモは市民の自由と警察の説明責任を求める運動にまで拡大しました。
抗議デモはさらに暴力的で破壊的なものになったとCNNは報告しています。
CNNによると、2人が抗議活動中に実弾の犠牲になり、1人の男性は放火され、また別の男性がレンガの衝突により死亡しています。
16,000発以上の催涙ガスが警察によって発射され、約7,000人が逮捕されました。
香港の抗議に関連してメンタルヘルスの問題を起こした成人のうち、専門家へ相談したのは半数未満であると言われています。
それでも、研究者は、メンタルヘルスケアの専門家は、ケアの需要が12%増加することが見込まれ、それに備えなければならないと見積もっています。
この研究は1月9日の医学雑誌ランセットに掲載されました。
香港大学の教授であり、この研究の共著者であるガブリエル・リョン氏は次のように述べています。
「香港はこの過剰となったメンタルヘルスの問題に対処するための対策が不足しています。」
「精神医療機関の許容量は英国の一人当たりの約半分であり、既存の精神外来では最大で64週間も待機せねばならないため、それを必要としている人が高品質のサービスを受けられるようにするためにはメンタルヘルスと社会的ケアを強化することが重要です。」
この研究の共同リーダーであるマイケル・ニ氏は、次のように付け加えました。
「2019年にはバルセロナ、デリー、パリ、サンティアゴなどの主要都市を含む世界各地で社会情勢への不安が高まったため、社会不安が国民の メンタルヘルスにどのように影響を与えるのかといった問題に対処するのは、公衆衛生上非常に重要です。 」
【以下のリンクより引用】
Hong Kong Unrest Leaves Millions to Struggle With PTSD, Depression
HealthDay