高血圧において免疫系はどのような役割を果たすのか
米国をはじめ世界中には何百万という高血圧症の人がいます。高血圧症は、適切に管理がされなければ、心臓病や脳卒中のリスクがあります。
米国疾病管理予防センター(CDC)のデータによると、米国では約7500万人の成人が高血圧症を患っています。
2017年のAmerican Heart Association(AHA)のガイドラインでは、「高血圧」は130mm Hg以上の収縮期血圧、または80
mm Hg以上の拡張期血圧と定義しています。
AHAはまた、高血圧のリスクを高める主要な修正可能な要素として身体活動の欠如、不健康な食事、高コレステロール血症、およびストレスを挙げています。
イギリスのエジンバラ大学の科学者による新しい研究は今この病気に発展させる役割を果たすとみられる別の要因を発見しました。
British Heart Foundation(イギリス心臓病支援基金)が資金提供を行ったこの研究は、ある種の特殊化された免疫細胞が高血圧の危険性に大きな違いをもたらすことを見出しました。
「高血圧は70歳以上の人が約70%を占めますが世界中の何百万人もの人々が罹患しています。」と主任研究者のマシュー・ベイリー氏は述べています。
「我々の発見は危険因子に焦点を当て、そして決定的に、患者を助けることができる新薬を調査するための道を開くものです。」と彼は付け加えました。
ベイリー博士と博士のチームの調査結果は『European Heart Journal』誌に掲載され、それらはオンラインで公開されています。
細胞破片除去装置と血圧
新しい研究において、研究者らはマウスモデルを使い免疫系の一部を形成する白血球の一種であるマクロファージについて集中的に調査を行いました。
マクロファージの役割は、怪我や感染により体内に存在している異物を識別して「食べ尽くす」ことです。
免疫細胞はまた、もはや機能していない細胞の残骸からなる細胞片も食べます。
現在の研究では、マクロファージが果たす新しい役割が明らかになりました。
それらは血管収縮剤として作用するホルモンである『エンドセリン』の分子も消費しているように思えます。
これは血管を狭めるように刺激することができることを意味します。
ベイリー博士らは、エンドセリンの血中濃度をコントロールすることで、マクロファージが血管を適切に弛緩させ、血圧を下げるのに役立つということを説明しています。
研究者らは、血中マクロファージ濃度が低下したマウスに、高血圧リスクを高めるため、高濃度の塩食を与え、それらの生理学的反応をモニターすることによりそのメカニズムを検証しました。
研究者たちはすぐにこれらのマウスが高血圧であることを確認しました。
しかし、チームがマクロファージレベルを正常に戻すことを許可すると、マウスの血圧は再び健康になりました。
これは、白血球の専門家が重要な役割を果たしていることを示唆しています。
貧弱なエンドセリン系機能を持つようにそれらが遺伝的に改変されたというマウスで実験を繰り返したときもまた、所見は一貫したままでした。
研究者らはさらに、薬物誘発性高血圧症のマウスにおけるマクロファージと血圧の関連性を検証しました。
潜在的な治療ターゲット
これらの知見がヒトにおいても有効であるかどうかを確かめるために、研究チームは、抗好中球細胞質抗体血管炎、免疫系に影響を及ぼし血管に損傷を与える症状の治療薬を服用した個人のマクロファージ活性を分析しました。
科学者たちは、シクロホスファミドのようなマクロファージレベルを下げる薬は、それらを摂取した人々の血圧測定値が高くなることを発見しました。
これらの調査結果は、ベイリー博士と博士のチームによると、医師が高血圧の危険性が最も高い人々をより的確に特定するのに役立つ可能性があり、高血圧のための新しい治療法の改善につながる可能性もあります。
それでも、治療目的として使用されるに先立ち、研究者らはマクロファージとエンドセリンとの相互作用について更なる研究が必要であると警鐘を鳴らしています。
「私たちの次のステップは、高血圧症を患っている人々のマクロファージの役割を調べることです」とベイリー博士は言います。
「高血圧とは診断されていない場合でも心臓や血管に損傷を与え、潜在的に致命的な心臓発作や脳卒中の危険があります。高血圧につながるすべてのメカニズムはまだ完全に理解しているわけではありません。」と、この研究に関与していないブリティッシュハート財団のジェレミー・ピアソン氏は付け加えました。
「この研究は、マクロファージ(私たちの免疫反応を調節するのを助ける細胞のタイプ)が血圧のコントロールに関与することができることを初めて示したものです。今後、より多くの研究が必要ですが、これらの細胞はこの疾患を治療するための新しいターゲットとなる可能性があります。
【以下のウェブサイトより引用】