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JapanRx / 高血圧薬のうつ病、双極性障害への影響

高血圧薬のうつ病、双極性障害への影響

高血圧の薬は血圧だけでなく、うつ病や双極性障害などの気分障害に影響を与える可能性があると米国心臓協会のジャーナル高血圧に発表された新しい研究でわかりました。

 英国グラスゴー大学の心血管医療科学研究所と健康福祉研究所が研究を行いました。

うつ病や心血管疾患は、世界的に負担が高い疾患です。双方向の関係は、鬱病および心臓疾患との間に存在すると考えられる両方の条件の下にある機能的な変化に起因すると考えられています。

大うつ病性障害は、高血圧のリスク増加と関連しているのに対し、双極性障害は、心血管死亡率と高血圧のリスク増加と関連しています。

一方で、根底にある気分障害を有しているかもしれない高血圧患者にこれらの薬剤を処方することにおける影響を示唆している、この二つの関係の結果を決定づける高血圧薬の標的が、気分障害の発達において役割を果たし得る経路についての証拠が増えつつあります。

「メンタルヘルスは、高血圧臨床では認識されており、降圧薬の精神衛生上の影響の可能性は、医療従事者が知っておくべきエリアであり、高血圧の治療がその患者の精神的健康にマイナスの影響を与える場合も検討せねばなりません。」と、研究著者で循環器医療科学研究所教授のサンドッシュ パドマナブハン博士は述べています。

グラスゴー大学の研究者は、降圧薬の異なるクラスの患者を分析することにより、高血圧の薬の気分障害に対する影響を525046人の患者を含む病院のデータベースにより、5年間の追跡期間にて研究しました。

【気分障害のリスクの増加に関連する2つの降圧薬】

データベースから、144,066人の40歳から80歳までの患者が研究の対象となりました。
研究対象となった薬剤:アンギオテンシン拮抗薬、β遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、またはチアジド利尿薬。
参加者は、処方された単一の高血圧薬に基づいて4つのグループに分けられました。
研究にはまた、治験期間中にこれら4つの降圧薬のクラスのいずれも服用しなかった111,936人の対照群を含めました。

5年間の追跡期間の間、研究者は、うつ病や双極性障害などの気分障害による入院について記録しました。
被験者が90日間、抗高血圧薬を服用した後、研究調査が始まりました。

研究者は、主として薬物治療が始まった後、参加者の中で299人が平均2.3年間で大うつ病で入院したことを指摘しました。

研究者らは4つの降圧薬の最も一般的なクラスを比較し、1つの薬剤は、気分障害のリスクを減少させる一方で、2つの薬剤は、気分障害のリスクの増大と関連していたことがわかりました。

パドマナブハン博士らは、β遮断薬やカルシウム拮抗薬を処方された人々は、アンジオテンシン拮抗剤を処方された患者と比較して、気分障害での入院のリスクが倍であったことを確認しました。

これとは対照的に、アンジオテンシン拮抗薬を処方された患者は、他の血圧薬を処方された患者、そして対照群から無降圧療法中の患者と比較して、気分障害での入院のリスクは最も低かったことがわかりました。

チアジド利尿薬および対照群の両方の患者は、気分障害のために同じリスクがあることが見出されました。

研究チームはまた、共存する病状の存在が有意に5年間の追跡期間中に気分障害のリスクを増加させることを見出しました。

【気分障害のためのレニン - アンジオテンシン系阻害剤使用の可能性】

いくつかの相互作用の生物学的システムは、視床下部 - 下垂体 - 副腎(HPA)軸の過活動、神経炎症、酸化ストレス、内皮機能不全のような気分障害および心血管疾患のリスクを増加させる共有メカニズムに関係する可能性があります。高血圧薬は、特にHPA系に影響を及ぼすと考えられています。

身体の血圧の調節を担うシグナル伝達経路 には、 脳における認知、うつ症状、および行動に関与するレニン - アンジオテンシン - アルドステロン系があるという証拠があります。

研究者らは、レニン - アンジオテンシン系の阻害は、気分障害における治療の可能性を有しているという仮説をたて、アンジオテンシン変換酵素阻害剤および高血圧を治療するために使用されるアンジオテンシン受容体遮断薬を、新規、または「再利用」として、気分障害の治療への使用を示唆しています。

(記事元)http://www.medicalnewstoday.com/articles/313380.php