高齢で薬を服用する場合は、飲酒の量を見直そう
飲酒パターンは、年齢とともに変化する傾向があります。
年齢が上がるほど、毎日、飲酒を行う可能性が高くなります。
しかし、高齢者は酔っぱらっている場合にのみ、飲酒が問題であると認識することがよくあります。
オーストラリアのアルコールガイドライン草案では、健康な成人には、アルコールの摂取は1週間に10杯まで、1日に4杯までと推奨しています。
これは、以前のガイドラインにあった、1日平均14杯から減少しています。そして、1日に2杯以上は推奨されません。
これを超えるものはすべて、リスクの高い飲酒とみなされます。
なぜなら、それは、がんや怪我などのアルコール関連疾患のリスクを高めるためです。
2007年から2016年の間に、60歳〜69歳のオーストラリア人の間で危険な飲酒が17%増加しました。
2016年には、60歳〜69歳の18.2%が危険なレベルで飲酒をしていました。
女性に目を向けると50歳〜59歳の女性は、18〜24歳の女性(12.8%)を含む他のどの年齢層よりも危険なレベル(13%)で飲む可能性が高くなりました。
高齢者は、アルコールと薬との相互作用の影響を受けやすく、アルコールによって疾患が悪化する可能性があります。アルコール代謝の加齢に伴う変化は、同量のアルコールを飲んでも酔いやすくなるということを意味します。また、アルコールは転倒リスクも高める可能性があります。
一部の高齢者では、年齢を重ねてもアルコールの消費量が変わらないことで危険にさらされることを意味します。
アルコールは多数の薬と混ぜない
高齢者は多くの薬を服用している可能性が高くなります。
高齢者の約3分の2が4種類以上の薬を摂取しています。
これらの薬の多くはアルコールと相互作用します。
58歳〜87歳の危険な飲酒を行っている人を対象とした調査では、92%が大量のアルコールと併用すると深刻な副作用を引き起こす可能性のある薬を服用していることがわかりました。
これには、高血圧に処方される一般的な薬が含まれます。
私たちが調査した人々の97%で、飲酒により薬の有効性が低下していました。
これには、胃酸の逆流を治療するために一般的に処方される薬物であるネキシウムが含まれていました。
飲酒は高齢のオーストラリア人の方が多い?
死別や退職などの年齢に関連する要因は危険なレベルで飲酒を行う可能性を高めるかもしれませんが、ほとんどの場合、アルコールは年を取るにつれて楽しい社会生活の一部なのです。
私たちの研究では、アルコールの使用は社会的関与と密接に関連していました。
より頻繁に社交場へ出向く機会がより頻繁な飲酒に繫がっていました。
引退した農村部に住む住民の間では、いつでも地域のグループと交流ができることも、より頻繁な飲酒を奨励するものです。
オーストラリアとデンマークの50歳から70歳までの女性の飲酒者に関する最近の研究では、危険なレベルで飲酒を行っていた人は、飲酒は自分たちの飲酒量が管理できていると思われる限り、生活の中で普通に、容認ができる楽しい部分であると言っていました。
そうすることで、彼らは飲酒を現在および将来の健康問題から精神的に遠ざけることができたのです。
大量飲酒を健康問題として認識
オーストラリアのアルコールガイドライン草案では、一般の成人向けの推奨事項はありますが、高齢者向けの具体的な推奨事項は記載されていません。
むしろ、高齢者は病歴と服用している薬に基づいて適切な飲酒レベルを決めるために、医師へ相談するということを推奨しています。
しかし、私たちの研究では、服用している薬に関係なく、過去12か月間で、医師にアルコールの使用について質問を行ったのは、高齢の男性の30%と女性の20%のみでした。
アルコール使用について、薬剤師に尋ねた人は更に少なくなりました。
幸先の良いこととしては、ほとんどすべての研究参加者が、特に薬物療法に関して、アルコールの使用について質問することには抵抗がありませんでした。
そして、半数以上が、薬剤を調剤する際に地域の薬剤師がこの問題を提起しても問題ないと考えていました。
では私たちは何ができるでしょうか?
高齢者の飲酒や他の薬物使用に対する社会的背景を認識し、これらの行動をどのように理解のかということは、アルコールの有害な部分を最小限に抑えるための重要な第一歩です。
アルコールに関連した問題を経験している高齢者向けに、オーストラリア初の高齢者向けサービスであるOlder Wiser Lifestyles(OWL)は、健康を危険にさらしている可能性があり飲みすぎに気付いていない140人以上の人々を効果的に特定しました。
このビクトリアンイニシアチブという取り組みは、クリニックへ出向いた患者にiPadでのスクリーニングテストを行い、リスクが特定された場合は医師に通知します。
その後、その人は、教育、簡単なカウンセリング、害を軽減することをアドバイスする、OWLの早期介入プログラムに参加できます。
これまでのところ、このプログラムにより、飲酒量を減らし、アルコールと医薬品との相互作用の問題を減らしています。
このようなスキームは全国で行うことができ、それは生活の質を改善し、予防可能な病気や早死を減らし、医療システムの費用を節約することができるのです。
【以下のリンクより引用】
If you’re ageing and on medication, it might be time to re-assess your alcohol intake
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